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Location : Home > SUN Special Editon Title : Commentary 2000/01/05 |
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【旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所】
旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所について
今回は、いつものDaily Highlightsで、たびたび登場している「国際刑事裁判所」について、シリーズで解説を試みます。第1回目は、「旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所」について取りあげます。(次回は「ルワンダ国際刑事裁判所」です)。
旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所は、自らのホームページ を設置し、FACT SHEETという形で、その概要を紹介しています。ここでは、このFACT SHEETの抄訳に沿いながら、1993/5/3の国連事務総長報告書(S/25704)による解説を施していきます。
1999/11/17 FACT SHEET
裁判所規程は、4つの罪を訴追する裁判所の権限について定義する。
2人の被告が再審中で釈放されている。
Zlatko Aleksovski, Zejnil Delalic
昨年末、NHKスペシャル「映像の世紀」で、第二次大戦以前のユーゴスラビアの模様を貴重な映像を交えながら解説していました。戦前には、クロアチアの独立運動が、ナチスドイツと結びついて、セルビア人を虐殺する民族浄化が行われていたことが最近、明らかにされました。
近年の報道では、「極悪セルビア」一本槍ですが、旧連邦崩壊前のチトー政権は、戦前のセルビア人虐殺の歴史を極秘事項として封印したうえで、民族の共和を謳ってきたといいます。
国連の国際刑事裁判所の試みは、どちらが悪いとして、国家に制裁を加えたり、どっちもどっちだという解決をつけるものではなく、あくまで個人の刑事責任を追及しようとする動機に基づいています。したがって、戦争中に残虐行為を行った軍人、司令官、収容所の看守、政策を指示したり、止めなかった政治家について、国籍、人種のいかんに関わらず、衡平な訴追・処罰が求められます。
現実に起訴された被告の数は、セルビア人に偏っていますが、これは、違反行為の実行者・首謀者が軍事的に圧倒的に強力なセルビアによって行われているからであって、クロアチア人やムスリムの容疑者が起訴されていないわけではありません。
なおユーゴ紛争についてさらに詳しく知りたい方は、
War Criminal Watch was by the Coalition for International Justice
日本語では千田善氏のホームページをお勧めします。
戦後の二つの国際軍事裁判が、戦勝国による敗戦国への復讐、報復の名目とされた色彩が強いのに対して、国際刑事裁判所の理念は、戦時犯罪についても法の支配を及ぼし、戦争が終われば戦争中の個人の行為は、それで免責になるという考え方じたいを破棄し、「復讐の連鎖」を止めることに主眼があります。
<参考文献>
千田善 『ユーゴ紛争―多民族・モザイク国家の悲劇』(講談社現代新書)
千田善 『ユーゴ紛争はなぜ長期化したか』(勁草書房)
種田玲子「旧ユーゴに関する国際裁判所の設立について」『ジュリスト』1027号
伊藤哲雄「旧ユーゴ国際裁判所の法的な枠組みと問題点」『立教法学』40号
坂本一也「国際刑事裁判所設立構想に関する一考察」『法学』(東北大学)59巻3号
(Jo)
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Updated : 2000/01/05
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