Location : Home > SUN Special Editon
Title : Commentary 1999/12/24

【女性差別撤廃条約の選択議定書】


■本年12月18日、女性差別撤廃条約採択から20周年

 1978年12月18日に、国連総会で女性差別撤廃条約(略称。政府公式訳は「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」)が採択されてから今年で20年を数え、同条約の締約国は165ヶ国にのぼった。この条約は、国連で採択された国際人権条約の中でも、子どもの権利条約に次いで、締約国数が多い。

■女性差別撤廃条約に新たに個人通報制度を導入

 女性差別撤廃条約には、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(自由権規約)、「人種差別撤廃条約」及び「拷問等禁止条約」には存在する個人通報制度という条約実施のための制度がなかったことから、1993年のウィーン世界人権会議、1995年の北京世界女性会議において、女性の人権の履行を強化するため、個人通報制度の導入の検討が要請された。これを受けて、1996年から、国連人権委員会の下部機関である女性(婦人)の地位委員会の作業部会で、個人通報制度を導入するため、女性差別撤廃条約の選択議定書の起草作業が始まり、4年の歳月を経て、女性差別撤廃条約採択20周年の本年10月6日、国連総会での採択が実った。

■女性差別撤廃条約の選択議定書とは

 選択議定書とは、それ自体が条約であり、女性差別撤廃条約の締約国になっている国が、別途選択議定書に加入または批准することによって、その国に対して適用されることになる。
 女性差別撤廃条約の選択議定書の署名式は、世界人権宣言が採択された日を記念する「人権デー」の12月10日、国連ニューヨーク本部で行われた。
 女性差別撤廃条約の選択議定書が発効するためには、10カ国の批准または加入が必要とされており、現在のところまだ発効していない。日本は未批准。署名、批准・加入の状況は、国連人権高等弁務官事務所のウエブサイト(http://www.unhchr.ch)のTREATIES, Optional Protocol to the Convention on the Elimination of All Forms of Discrimination against Women (Rights of Womenの項目下), status of ratification を順にクリックしていけば見ることができる。
 ただし、現時点ではまだstatus of ratification のページは設けられていない。
 なお、女性差別撤廃条約の選択議定書のページに直接行きたい場合、アドレスは、http://www.unhchr.ch/html/menu3/b/opt_cedaw.htm

■女性差別撤廃条約の選択議定書の内容

 女性差別撤廃条約の選択議定書は、個人通報制度と調査制度について定めている。

 個人通報制度の下で、女性差別撤廃条約に定める権利を侵害されたと主張する女性個人または個人の集団は、条約の監視機関である女性差別撤廃委員会に対し条約違反について通報することができる。
 調査制度とは、女性差別撤廃委員会が、信頼できる情報に基づいて、締約国における女性の人権の重大または組織的な侵害について調査を行うことができるというものであり、これまでは拷問等禁止条約にのみ設けられていた、強力な条約の履行確保のための制度である。
 女性差別撤廃委員会とは、女性差別撤廃条約により設置された条約実施の監視のための機関であり、4年任期の23人の専門家委員から構成される。日本人としては、現在、多谷千香子氏が1998年2月1日から2002年12月31日の任期で委員を務めている。

■より詳しい情報の入手方法

 女性差別撤廃条約及び女性差別撤廃委員会についての説明としては、国連人権高等弁務官事務所のウエブサイトにアップされている下記のファクトシートシリーズがある。
Fact Sheet No.22, Discrimination against Women: The Convention and the Committee (http://www.unhchr.ch/html/menu6/2/fs22.htm)

 女性差別撤廃条約の選択議定書の条文は、英語版は、http://www.unhchr.ch/html/menu3/b/opt_cedaw.htmで、日本語の非公式訳は、 国際連合広報センターのウエブサイト、http://www.unic.or.jp/recent/protoc.htmで入手できる。

 その他、女性の地位向上部のウエブサイトhttp;//www.un.org/womenwatch/daw/cedaw/protocolには、女性差別撤廃条約の選択議定書についての説明(英語)がアップされている。
 さらに、女性差別撤廃条約の選択議定書署名式についての、アンジェラ・キング、ジェンダー問題国連事務総長特別顧問とメアリー・ロビンソン国連人権高等弁務官の共同声明を、http://www.unhchr.ch/huricane/huricane.nsf/(Symbol)/OHCHR.STM.99.28.En?OpenDocument で読むことができる。

◆「今日の一言」

 ごぶさたしております。大谷です。今後は、火曜日の翻訳担当ではなく、人権・人道問題を中心に、解説記事を担当することになりました。改めて宜しくお願い申上げます。

 できればタイムリーに、条約採択20周年記念の12月18日に、スペシャル・エディションとして配信したかったのですが、遅れ馳せながら、新しく採択された女性差別撤廃条約の選択議定書を取上げてみました。
 人権問題に関しては、用語が難解だったり専門的でよくわからないという声を耳にすることがありますが、この「選択議定書」も、まさにその代表選手格です。こうした用語を取上げ、解説したり、詳しい情報の入手方法を紹介していきたいと思っております。
 以前は、特に国際人権法の問題が日本語でわかりやすく説明されたものはあまりなかったのですが、2年間アメリカにいて帰ってきまして、ずいぶんとたくさんの日本語の本が出ていたり、国連広報センターが新しく選択議定書の非公式訳をいち早くホームページに載せたりと、日本語での情報が手に入りやすくなっていることを痛感しました。こうした努力をして下さっている方たちに敬意を表します。

 個人通報制度は、本文でも書きましたが、女性差別撤廃条約の他、自由権規約など全部で4つの条約に設けられています。現代人文社から出ている「個人通報制度って知ってる?」というブックレット(800円)は、このうち、自由権規約の個人通報制度を解説したものですが、とてもわかりやすく、読みやすく書かれた手頃な解説書です。

大谷


Updated : 1999/12/24