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Title : S/RES/1923 : The situation in eastern Chad and the north-eastern Central African Republic

安保理決議第1923号
チャド・中央アフリカ共和国情勢に関する決議

採択日:2010/05/25
会合:
投票:全会一致
プレスリリース:SC/9935

安全保障理事会は、

 決議第1769号(2007)・第1778号(2007)・第1834号(2008)・第1861号(2009)・第1913号(2010)・第1922号(2010)を含むチャド・中央アフリカ共和国及び周辺地域に関する決議及び議長声明を想起し、
 チャド及び中央アフリカ共和国の主権・統一・領土保全・政治的独立及び当該地域における平和の大義への責務を再確認し、
 ダルフールにおいて継続する暴力のチャド東部及び中央アフリカ共和国北東に対する人道的・治安的影響に懸念を繰り返し表明し、
 文民の安全・当該地域における人道支援活動の実施・当該国の安定への脅威となり、人権及び国際人道法への深刻な違反となるチャド東部・中央アフリカ共和国北東部・スーダン西部における武力活動及び山賊行為を懸念し、
 2国間関係を正常化し、武装勢力の越境活動を防止し彼らの犯罪活動を防ぐという観点から、共通の国境に沿って合同の司令部の下での合同部隊を展開するとのチャド・スーダン両政府による2010年1月15日付署名を歓迎し、
 ドーハ和平プロセス(the Doha peace process)を含むダルフール問題の適切な解決、シルテ及びリーブルビル協定(the Sirte and Libreville agreements)の全面的履行、チャド及び中央アフリカ共和国における国民の政治的対話の努力は、当該地域における長期にわたる平和と安定並びに難民及び国内避難民の自発的かつ安全で持続可能な帰還に貢献することを強調し、
 また難民及び国内避難民問題の尊厳ある永続的解決の達成、特に自発的かつ安全で秩序ある帰還と持続可能な社会復帰の重要性を強調し、
 当該地域における武力紛争への解決をもたらす事務総長、アフリカ連合、その他の国際的・地域的活動の努力への全面的な支援を繰り返し、
 女性と平和・安全に関する決議第1325号(2000)・第1820号(2008)・第1888号(2009)・第1889号(2009)、人道活動要員・国際連合要員の保護に関する決議第1502号(2003)、武力紛争における文民の保護に関する決議第1674号(2006)・第1894号(2009)を再確認し、
 武力紛争における子どもに関する決議第1612号(2005)・第1882号(2009)を再確認し、チャドにおける武力紛争と子どもに関する事務総長報告(S/2008/532)・中央アフリカ共和国における武力紛争と子どもに関する事務総長報告(S/2009/66)及びそれらに含まれる勧告に留意し、武力紛争における子どもに関する作業部会(Working Group on 子ども and Armed Conflict)により採択され、安全保障理事会により承認された結論のうちチャドに関するもの(S/AC.51/2008/15)及び中央アフリカ共和国に関するもの(S/AC.51/2009/2)を想起し、
 チャド・中央アフリカ共和国両政府は、法の支配、国際法・人権法・国際人道法を尊重し、それぞれの領土内における文民の保護を保証する第一の責任を負っていることを強調し、
 1969年のアフリカにおける難民問題の特殊な側面を規定するアフリカ統一機構条約(the 1969 Convention of the Organization of African Unity governing the specific aspects of refugee problems in Africa)・アフリカにおける国内避難民の保護と支援に関する2009年10月29日のアフリカ連合条約(the African Union Convention of 29 October 2009 on the Protection and Assistance of internally displaced persons in Africa)に従い、1951年7月28日の難民の地位に関する条約及び1966年12月16日の追加議定書(the Convention relating to the Status of Refgees of 28 July 1951 and its additional protocol of 16 December 1966)に留意し、
 国際難民法を尊重し、難民キャンプ及び国内避難民避難所の文民的・人道的性質を維持し、武装集団によるキャンプ及び避難所内・周辺において行われる、女性や子どもを含む個人の徴用を防止する必要性を強調し、
 国際連合中央アフリカ共和国・チャドミッション(MINURCAT; United Nations Mission in the Central African Republic and Chad)の物流的・管理的・技術的支援の下、主要な街・難民キャンプ・国内避難民避難所における難民及び人道活動者の安全に貢献するためのチャド政府による統合保安隊(DIS; the Detachement Integre de Securite)の設置を賞賛し、DISはこれらの場所において地域警備を提供し、国際連合要員・人道支援活動者を護衛していることに留意し、
 国境警備及び体外的脅威に対するチャド国家軍(ANT; the Armee nationale tchadienne)の責任並びにチャド東部の地域警備に対する憲兵隊(the Gendarmerie)及び国家領土保安隊(the National Nomad Guard)を認識し、
 チャド政府が事務総長に対しMINURCATがチャドから撤退することを望んでいることを2010年1月15日付口上書を通じて知らせたこと並びに以前の要請の政府による再考結果とチャド政府及び国際連合事務局間の2010年1月15日から4月23日の間の協議の内容を安全保障理事会議長を知らせる3月3日付チャド常任代表書簡(S/2010/115)に留意し、
 MINURCATの軍事部隊の秩序ある縮小並びにミッションの活動委任期限終了後も持続する基礎となるDIS、司法・矯正制度、人権保護、地域紛争解決機構 の強固化の継続の必要性を強調し、
 2010年4月29日付事務総長報告(S/2010/217;以下「事務総長報告」と記す)及びこれに含まれる、MINURCATの将来のプレゼンスAR の編成に関する勧告を検討し、
 スーダン・チャド・中央アフリカ共和国間の国境地域の情勢を国際平和と安全に対する脅威と見なし、

  1. MINURCATへの活動委任期限を2010年12月31日まで延長することを決定する。
  2. 2010年5月21日付チャド常任代表書簡(S/2010/250)において想起したように、国際人道法・人権法・難民法の下での義務に従って女性と子ども、国際連合及び人道要員・資産に特に焦点を当てた難民・国内避難民・帰還民・受け入れコミュニティを含むチャド東部における文民の安全と保護に対する全面的な責任を負うチャド政府の責務に留意し、そのようにすることでチャド政府が以下の任務を遂行する責務を持つことを強調する。
    1. 危機に瀕する文民、特に難民及び国内避難民の安全と保護を保証すること。
    2. チャド東部における治安を改善することにより、人道支援の配布と人道要員の移動の自由を促進すること。
    3. MINURCAT要員並びに国際連合及び関連要員の安全と移動の自由を保障すること。
  3. またこの文脈から、国際人道法に従い、安全保障理事会決議第1861号(2009)において概括されたように、文民及び人道支援活動者の保護に関する以下の指標の達成に向けて活動するチャド政府の責務に留意する。
    1. 国内避難民の自発的帰還並びに安全で持続可能な状態での再定住
    2. 武器・暴力・人権虐待の減少による証拠としての難民及び国内避難民キャンプの非武装化
    3. 国家法執行機関、司法・矯正制度、難民・国内避難民・人道支援活動者の国際的な人権標準に照らして必要な安全の提供を含むチャド東部におけるチャド当局の能力の改善
  4. 現場の状況に基づき文民の保護に配慮して、第2パラグラフにおいて設定された任務を履行するためにチャド政府により採択された措置第3パラグラフにおいて設定された指標に適うための進展、憲兵隊及び国家領土保安隊と協力し、護衛や地域警備並びに難民キャンプ及び国内避難民避難所の内部及び周辺の安全を提供するDISの能力について月ごとに評価するために、チャド政府及び事務総長に対しチャド政府/国際連合合同高官級作業部会を設置することを要請する。
  5. MINURCAT以後のDISの維持や活動について、必要に応じ、高官級合同作業部会を通じて安全保障理事会に2010年7月31日までに計画を提出するチャド政府の責務を認識する。
  6. MINURCATの軍事構成は2,200名(チャドに1,900名・中央アフリカ共和国に300名)、25名の軍事連絡将校にまで縮小することを決定し、さらにMINURCATは最大300名の警官及び適切な規模の文民を含む規模とすることを決定する。
  7. 事務総長に対し、2010年7月15日までに余剰となる部隊の人員の最初の撤退を履行し、2010年10月15日までに残余の部隊の最終的撤退を開始することを要請し、さらに事務総長に対し、2010年12月31日までにあらゆる制服組及び文民MINURCAT要員、その他ミッションの残務処理のために要請された人員の撤退の完了を要請する。
  8. .国際連合現地駐在チームと協力し、必要に応じて、その活動委任内容に抵触しない範囲で統合国際連合中央アフリカ共和国平和構築事務所(BINUCA; the United Nations Integrated Peacebuilding Office in the Central African Republic)と連携し、MINURCATはチャド東部及び中央アフリカ共和国北東部において以下のような活動委任内容を果たすことを決定する。
    1. DISの部隊を選別し、監督し、監視し、訓練し、助言し、支援すること。
    2. 国境に近い難民キャンプの移転努力支援においてチャド政府及び国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)と連携し、可能な範囲で実費精算によりその目的のための物流支援をUNHCRに提供すること。
    3. 山賊・犯罪・当該地域における人道活動に対して勃興する脅威に関する情報を交換するために、国軍・憲兵隊・機動隊・国家領土保安隊、チャド及び中央アフリカ共和国の司法当局及び矯正機関職員、スーダン政府、国際連合スーダンミッション(UNMIS; the United Nations Mission in Sudan)、アフリカ連合/国際連合ダルフール合同平和維持活動(UNAMID; the African Union/United Nations Hybrid Operation in Darfur)、BINUCA、中央アフリカ諸国経済委員会中央アフリカ共和国多国籍軍(MICOPAX; the Multinational Force of the Economic Community of Central African States in the Central African Republic)及びサヘル・サハラ国家共同体(CEN-SAD; the Community of Sahelo-Saharan States)と連携すること。
    4. 国内避難民帰還の環境を拡大するために地域の緊張を解決し、地域和解努力を促進するチャドにおける国家・地域当局の活動を支援すること。
    5. 性的暴力・ジェンダーに基づく暴力に特に注意してチャドにおける人権の監視・促進と保護に貢献し、免責と戦うと言う観点から、管轄当局に行動を勧告すること。
    6. その能力の範囲内で、国際的な人権の標準での訓練を通じてチャド政府及び市民社会の能力を拡大する努力並びに武装集団による子どもの徴用と利用を終結させる努力を支援すること。
    7. 国連諸機関と協力し、独立した司法制度・強化された法制度を支援することにより法の支配の促進においてチャド政府を支援すること。
  9. さらに、2010年10月15日に軍事要員の最終撤退を開始するまでに、チャド政府と協力し、その能力とチャド東部の活動地域の範囲内でMINURCATは以下の機能を果たすことを決定する。
    1. 国際連合要員・装備・設備・備品・関連要員の安全を提供すること。
    2. MINURCAT展開場所近辺の状況認識を維持すること。
    3. 支援機能を果たす国際連合軍事要員に護衛を提供すること。
    4. 危機にある国際連合要員及び人道活動者を救出するために限定された活動を実行すること。
    5. 国際連合要員への医療救助支援を提供すること。
  10. さらに、上記第2パラグラフに抵触することなく、その手段と能力の範囲内で、可能な場合はチャド政府と協議の上、近接した場所にいる文民に暴力の脅威が差し迫っている場合にはMINURCATには対応する権限を与えることを決定する。
  11. さらに、10月15日に軍事要員の最終撤退を開始するまでに、ビラオ(Birao)における軍事プレゼンスを通して、中央アフリカ共和国政府と連携し、MINURCATには、その能力と中央アフリカ共和国北東部の活動地域の範囲内で以下の機能を果たす権限が与えられることを決定する。
    1. よりよい治安環境創設のために貢献すること。
    2. 危機にある国際連合要員及び人道活動者を救出するために限定された活動を実行すること。
    3. 国際連合要員・設備・装備・装置を保護し、要員及び国際連合関係要員の安全と移動の自由を保障すること。
  12. MINURCATは事務総長報告第64・第65・第66パラグラフに従いDIS支援を継続すること並びにDISの全面的所有に関するチャド政府の責務に留意する。
  13. 文民の保護・人道的アクセス・人道活動者の安全の確保に関する問題における役割と責任に対する共通の理解に達するという観点から、人道・早期復興計画によい影響を与えるために、対話と協力を醸成するフォーラムを開催するとのチャド政府及び国際連合の意図を歓迎する。
  14. DIS継続に関するチャドの責務を想起する2010年5月21日付チャド常任代表書簡(S/2010/250)に留意し、この文脈から、MINURCATに対し、第5パラグラフにおいて言及された計画が、DISになされた投資がMINURCAT以降も維持される保証を適切に提供することを期待して、事務総長報告第71・第79パラグラフにおいて言及された社会基盤の建設を開始することを要請する。
  15. 事務総長及びチャド・中央アフリカ共和国両政府に対し、MINURCATの展開期間を通じて緊密に協力することを要請し、チャド共和国政府に対し2008年3月21日のMINURCATの地位に関する合意(the Agreement on the Status of MINURCAT)のあらゆる条項及び2009年10月15日の修正を全面的に尊重し、特にMINURCAT・その要員・受託業者、乗り物・航空機の全面的な移動の自由を保障し、MINURCATの活動委任期限の全期間、チャドからの全軍民要員の最終的な撤退・退去まで、あらゆる税・手数料・使用料その他合意及びその修正の下で課せられた義務の例外を認めることを要請する。
  16. あらゆる加盟国、特にチャド及び中央アフリカ共和国に接する国家に対し、上述の期間、妨害または遅滞なく、MINURCATのあらゆる人員・装備・設備・供給品及び車両・航空機・予備部品を含むその他の製品をチャド及び中央アフリカ共和国から撤退させることを促進することを要請する。
  17. 軍事活動のコンセプト及び行動規則が更新され全面的に本決議の条項に従うことの重要性を強調し、事務総長に対し、安全保障理事国及び部隊派遣国に対しそれらに関する報告を提出することを要請する。
  18. 資金拠出国に対し、チャド及び中央アフリカ共和国の人道的・再建・開発ニーズに対処する努力を維持することを奨励する。
  19. またスーダン・チャド・中央アフリカ共和国の各政府に対し、それぞれの領土は他の主権を覆すために使用されず、当該地域における武装集団の活動を終結させる観点から協力することを奨励する。
  20. スーダン及びチャドの関係正常化に関する2010年1月15日付ンジャメナ協定(N'Djamena agreement)及び過去の関連する協定を歓迎し、継続的履行に対する積極的な協力を奨励し、チャド政府に対し武装集団との協議の継続を奨励し、武装集団に対し直ちに暴力を停止することを要請し、チャド及び中央アフリカ共和国におけるあらゆる勢力に対し、それぞれ、2007年10月25日付シルテ協定(the Sirte agreement)及び2008年6月21日にリーブルビルで調印された包括的和平協定を尊重し履行することを要請する。
  21. チャド及び中央アフリカ共和国における当局及び政治的関係者に対し、自国の憲法の枠組みと特に以下の項目を尊重し、国民対話の努力を継続することを奨励する。
    1. 2007年8月13日にンジャメナにおいて調印されたチャドにおける民主的プロセス強化に関する政治協定の重要性を強調し、各勢力にその履行を継続することを奨励し、独立国家選挙委員会(the Independent National Electoral Commission)により公表された選挙の予定表を歓迎する。
    2. 中央アフリカ共和国政府及びあらゆる政治的関係者に対し、さらに武装解除・復員・社会復帰(DDR; the Disarmament, Demobilization and Reintegration)プロセスを成功裏に完了することにより2008年12月の包括的政治対話(the Inclusive Political Dialogue)の成果を履行することを要請し、明確な選挙の予定表の必要性を強調する。
  22. あらゆる勢力が、国際人道法の規則と原則、特に人道要員の保護に関するものを全面的に履行する義務を再確認し、さらにあらゆる関係勢力に対し、適用可能な国際法に従い、人道要員に、支援の必要があるあらゆる人への直ちに自由で妨害のないアクセスを提供することを要請する。
  23. MINURCAT及び国際連合現地駐在チームに対し、DIS及び人道コミュニティと協力し、武装集団による難民と子どもの徴用予防において政府への支援を継続し難民キャンプ及び国内避難民避難所の文民的性質を維持することを奨励する。
  24. 武装集団による子どもの徴用と利用を終結させるためにチャド当局が既に取った措置に留意し、この観点から国際連合機関、特にUNICEFとの協力の継続を奨励し、あらゆる関係勢力に対し子どもが保護されることを保証することを要請する。
  25. 事務総長に対し、安全保障理事会に定期的に報告することを要請し、事務総長に対し、2010年7月31日・2010年10月15日・2010年12月15日までに、チャド東部及び中央アフリカ共和国北東部における難民及び国内避難民の移動を含む治安状況・人道状況、関連する協定の履行における進展、第4パラグラフにおいて言及された合同高官級作業部会により指定された不足点への可能な対応として採択された措置を含む上記第2・第3パグラフにおいて設定された任務及び指標のチャド政府による実行における進展、MINURCATの活動委任内容の履行について報告を提出することを要請し、MINURCATの活動委任内容の妥当性を緊密に監視すし、必要に応じて見直すことを強調する。
  26. さらに事務総長に対し、7月の事務総長報告において、MINURCAT撤退の影響の評価に基づき、中央アフリカ共和国の国際的・地域的選択肢に関する評価を与えることを要請する。
  27. 事務総長に対し、MINURCATにより学んだ教訓を12月の事務総長報告において評価を与えることを要請する。
  28. この問題に引き続き積極的に取り組むことを決定する。

[訳注]

 「the National Nomad Guard」の Nomad は直訳すると遊牧等の意味であるが、それでは意味をなさない。Wikipediaにおける説明から解釈して「国家領土保安隊」とした。


分野:
地域:S/RES/1922チャド・中央アフリカ共和国情勢
採択順:S/RES/1922S/RES/1924
Updated : 2010/05/27