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Title : S/RES/1636 : The situation concerning Middle East

安保理決議第1636号
中東情勢に関する決議

採択日:2005/10/31
会合:第5297回会合
投票:全会一致で採択
プレスリリース:SC/8543

安全保障理事会は、

 関連する全ての安全保障理事会決議、特に2005年4月7日付決議第1595号・2001年9月28日付決議第1373号・2004年10月8日付決議第1566号を再確認し、
 レバノン政府の唯一かつ排他的な権威の下、レバノンの主権・領土保全・統一・政治的独立の厳密な尊重を繰り返し要請し、
 あらゆる形態のテロリズム及び示威行動は平和と安全に対するもっとも深刻な脅威のひとつであることを再確認し、
 2005年2月14日にベイルート(レバノン)で発生し、前レバノン首相であるハリリ(Rafiq Hariri)氏を始めとする22名を殺害し数十名の負傷者を出した爆破テロに対する調査を行った国際独立調査委員会(以下「調査委員会」と記す)報告 S/2005/662 を慎重に検討し、
 調査委員会が、困難な状況下で成し遂げた際立った専門的作業でレバノン当局を支援し今回のテロ行為をあらゆる側面で捜査したことを賞賛し、捜査は依然として完了していないとの調査委員会の結論に留意し、
 諸国家の責務の遂行にあたり調査委員会に対する支援を賞賛し、
 レバノン当局による、安全保障理事会決議第1595(2005)第3パラグラフに従った調査委員会の責務の遂行にあたり全面的な協力を賞賛し、
 関連する決議に従い、全ての国家に対しテロ行為に関連する犯罪捜査または刑事手続きに関連する最大限の支援手続きを行うことが要請されていることを想起し、特に決議第1595号(2005)において全国家・全勢力に対し調査委員会に全面的に協力することを想起し、
 捜査は既に重要な進展を見、大きな成果も上がっているが、今回のテロ行為の全貌を解明するためにレバノン内外における捜査、特に計画・資金提供・組織化・実行に責任を負うべき者の特定作業を継続する重要性があるとの調査委員会の見解に留意し、
 ハリリ(Rafiq Hariri)レバノン前首相らを殺害した爆破テロに責任ある者を全てを特定し逮捕すべきであるとのレバノン民衆の要望に留意し、
 これに関連して、調査委員会への活動委任内容をレバノン当局が行うテロ犯罪の様々な次元に対するさらなる捜査への支援まで拡張することを要請する2005年10月13日付事務総長宛レバノン首相書簡 S/2005/651 を承認し、
 調査委員会が同時になした、レバノン当局が今回のテロ行為の根源に行き着くためには継続した国際支援が必要であること並びに保安と司法の分野においてレバノン当局と協力し支援協力体制を構築するための国際社会の持続した努力が必須であるとの勧告を承認し、
 真実を追求し、今回のテロ行為に責任ある者に責任を取らせるためのレバノンに対する支援を継続する意図を表明し、
 全ての国家に対して、レバノン当局及び調査委員会が捜査に関連して必要かつ要請される支援の拡張、特に今回のテロ攻撃に関して保有するあらゆる関連情報を提供することを要請する。
 レバノンの国民統一及び安定への重大な責務を再確認し、同国の将来は平和的な手段により外国からの脅威・干渉なしに同国民自身による決定されるべきであることを強調し、この観点からレバノンの安定を覆す企みは受容しがたいことを警告し、
 シリア及びレバノンの諜報活動のレバノン諸機関及び社会への浸透しており、複雑な暗殺の手順を実行するシナリオを諜報機関の知識なしに構想することは困難であり、ハリリ前首相暗殺の決定はシリア保安組織の首脳部の承認なしには実施されえないとの調査委員会の結論に留意し、
 シリア当局が当初は躊躇しながら、ある程度まで調査委員会に協力しようとしたのは、シリア高官の中に虚偽または不正確な声明を与えることで調査委員会を誤った方向に導こうとした者がいるとの調査委員会の結論に留意し、
 どこの誰であろうとも、捜査の妨害または善意の協力の失敗を目的としたものを含めどのような理由によるテロ行為であってもその責任から逃れることは原理的に受け入れがたいことを強調し、
 今回のテロ行為とその含意は国際平和と安全に対する脅威であると見なし、
 当該地域における平和と安全と、その平和的解決の重要性を強調し、
 国際連合憲章第7章の下に行動し、

  1. 調査委員会報告を歓迎する。
  2. 今回のテロ行為に対しレバノン・シリア双方の当局関係者の関与を示す証拠があり、このような複雑な暗殺の手順を実行するためには当局関係者の知識なしには困難であるという調査委員会の結論に深刻な懸念をもって留意する。
  3. いかなる個人の有罪・無罪の最終的司法判断に影響を与えることなく、今回の犯罪の捜査の支援の段階として以下のことを決定する。
    1. 調査委員会またはレバノン政府により今回のテロ行為の計画・資金提供・組織化・実行に関与した疑いのあると見なされたあらゆる個人に対しそのような決定の告知並びに後述のサブパラグラフ(b)に基づき設置される下部委員会の合意の上、以下のような措置を講じる。
      • 全ての国家は、そのような個人の領土内への入国・通過を防ぐために必要な措置を講じること。本パラグラフでは国家にその国籍を有する国民の入国を拒否することを求めるものではない。しかしそのような個人が領土内で発見された場合には適用可能な法に従い委員会からの面談に応じることができるように確保すること。
      • 全ての国家は、そのような個人により、またはそのような個人やその指示を受けて行動する個人により直接的・間接的に保有または管理されている組織によって領土内で直接的・間接的に保有または管理されているあらゆる基金・金融資産・経済資源を凍結すること。また、その国内の人物または領土内のいかなる人物、そのような個人または組織の利益のために活動する人物からその基金・金融資産・経済資源利用可能にしないこと。さらにそのような個人・組織、または金融情報の共有を通じた活動を含む彼らのために行動する人物の資産及び金融取引に関するいかなる国際捜査に対しても適用可能な法に従い全面的に協力すること。
    2. 安全保障理事会暫定手続き規則(provisional rules of procedure)第28条に従い安全保障理事会の理事国からなり、本決議付属文書に記す任務を実行する下部委員会を設置する。
    3. 下部委員会及びサブパラグラフ(a)に基づきとられた措置は、他に安全保障理事会が決定を下さない限り、下部委員会が安全保障理事会に対し今回のテロ攻撃に関するあらゆる捜査及び訴訟手続きが完了したことを報告した時点で終了する。
  4. 今回のテロ行為に関するいかなる国家の関与も、特に決議第1373号(2001)及び決議第1566号(2004)に定められたテロリズム予防及びテロリズムへの支援防止の義務に対する重大な違反並びにレバノンの主権・政治的独立の尊重の義務に対する重大な違反になると見なす。
  5. シリア当局が調査委員会に対して形式的には協力するが実質的には協力しない間シリア高官で虚偽または不正確な情報を与えることで調査委員会を誤った方向に導こうとした者がいたとの調査委員会の結論に重大な懸念をもって留意し、シリアが調査への継続的に協力しないことは第1373号(2001)・第1566号(2004)・第1595号(2005)を含む関連する安全保障理事会決議における義務の重大な違反となると見なす。
  6. シリアが調査委員会に協力する意図に関して最近発表した声明に留意し、シリア政府が責務を全面的に履行することを期待する。
  7. 2005年10月13日付事務総長宛書簡において政府が要請し、調査委員会が報告において勧告したように調査委員会からレバノンへの継続的支援は、この憎むべき犯罪のあらゆる側面を明らかにし、今回のテロ行為の計画・資金提供・組織化・実行に関与した全ての人物及びその共犯者を逮捕し司直の手に委ねるために必要であると認める。
  8. この観点から調査委員会への活動委任期限を2005年12月15日まで延長するとの事務総長の決定を安全保障理事会決議第1595号で承認したように歓迎し、調査委員会からの勧告及びレバノン政府からの要請があればさらに延長することを決定する。
  9. レバノン当局が捜査に関して、調査委員会の勧告に従い、既に取った勇気ある決断、特に今回のテロ行為に関与した疑いのある元レバノン治安関係者を逮捕・起訴を賞賛し、レバノン当局に対し今回の犯罪の根底にたどり着くために同様の決断を下すことを奨励する。
  10. 未解決のままである問題の相当部分を明らかにする責務がシリア当局にあるとする調査委員会の結論を支持する。
  11. この文脈から以下のように決定する。
    1. シリアは、調査委員会がこのテロ行為の計画・資金提供・組織化・実行に関与したと見なしたシリア公務員または個人を拘束し、調査委員会に接触できるようにしなければならない。
    2. シリアは、決議第1595号(2005)第3パラグラフで記述されたように調査委員会に全面的かつ無条件に協力しなければならない。
    3. 調査委員会はシリア公務員及び捜査に関係ありとみなされる個人と面接する場所と手順を決定する権限を持つ。
  12. シリアに対し、レバノン国内問題に干渉せず、直接的であれ間接的であれレバノンの不安定化を目指したいかなる企みも繰り返さないこと並びに同国の主権・領土保全・統一・政治的独立を十分に尊重することを要請する。
  13. 調査委員会に対し、シリア当局から調査委員会が受領した協力または本決議の要請に合致しない行動をとった場合には必要に応じ安全保障理事会はさらなる行動をとることを含め、安全保障理事会に2005年12月15日までに進展状況を報告することを要請する。
  14. 今回の犯罪に責任ある者を確保するためにレバノン政府からの追加支援要請を検討する準備があることを表明する。
  15. この問題に引き続き積極的に取り組むことを決定する。

[付属文書]

 以下は本決議第3パラグラフに基づき設置された下部委員会の機能である。

  1. 本決議第3パラグラフ(a)項に掲げられた措置に従い、調査委員会またはレバノン政府により指定された個人を登録し、2就業日以内に下部委員会の委員が誰も反対しなければ、そのような場合には、第3パラグラフ(a)項に掲げられた措置の適用性を判断するために下部委員会が15日以内に開催されるものとする。
  2. 個別の場合により第3パラグラフ(a)項に掲げられた措置の例外を承認する。
    1. 旅行制限に関し、下部委員会が、旅行が宗教的義務を含む人道的必要に適っているかどうか、また本決議の目的を推進するか否かを判断する。
    2. 基金またはその他の金融資産・経済資源の凍結に関し、食料品・家賃・住宅ローン・薬品・医療・税金・保険料・公共料金の支払いを含む基本支出または妥当な専門家への支払い及び司法サービスの準備に関連して必要となる出費の返済または凍結基金またはその他の金融資産・経済資源の維持管理料であるかを判断する。
  3. 本決議第3パラグラフ(a)項に掲げられた措置に従い、調査委員会またはレバノン政府により指定された個人を登録から解除し、2就業日以内に下部委員会の委員が誰も反対しなければ、そのような場合には、第3パラグラフ(a)項に掲げられた措置の適用性を判断するために下部委員会が15日以内に開催されるものとする。
  4. 第3パラグラフ(a)項に掲げられた措置に基づき個人を全ての加盟国に報告すること。

[訳注]

 この決議には2つの「委員会」が現れる。
 英語の原文では一方は the Commission であり、他方は the Committee であるので混乱することはないが、日本語にするとどうしても双方とも「委員会」としか訳しようがない。実際、最初訳出したときに私自身が混乱した。
 ただ、ここでは翻訳としての正確さよりも意味がとりやすい表現にすることが優先されるべきと考え、前者は international independent investigation Commission のことであることから「調査委員会」、後者は安全保障理事会の委員会設置規定に基づく委員会であるので「下部委員会」と表記することした。


分野:
地域:S/RES/1614中東情勢S/RES/1644
採択順:S/RES/1635S/RES/1637
Updated : 2005/12/07