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Title : December 2003
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12月 3日(水曜日) 山本

ユニセフと国連開発計画が地雷活動に関する報告書を発表

 ユニセフ(UNICEF)と国連開発計画(UNDP)は対人地雷全面禁止条約署名開始から6年目にあたる3日、共同で地雷撤去作業に関する報告書『地雷活動ポートフォリオ2004(Portfolio of Mine Action Projects 2004)』を発表し、地雷撤去活動に従事するNGOへの支援と、犠牲者への支援のために、来年に2億8800万ドルが必要であると訴えた。現在、地雷撤去作業は36か国で行われており、毎年50人程度が犠牲となっている。

地雷撤去作業に貢献している2人の女性を賞賛:事務総長

 アナン事務総長は3日、ロスアンゼルスの新しいウォルト・ディズニーホールで演説を行い、地雷撤去作業に貢献している2人の女性を賞賛した。1人はアフガニスタンにおける地雷除去作業に尽力している Diane Disney Miller 氏(ウォルト・ディズニーの娘)、もう1人は地雷撤去活動組織 Roots of Peace の創始者 Heidi Kuhn 氏である。

UNRWA、来年の予算を発表

 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA;UN Relief and Works Agency for Palestine Refugee in the Near East)は3日、任意貢献に関するアドホク委員会(General Assembly's Ad Hoc Committee for Voluntary Contributions)の席上、来年の予算が3億3000万ドルであり、そのうち7200万ドルが19か国から拠出の誓約があったことを発表した。

国連総会、中東問題に関して6つの決議を採択

 国連総会は3日、中東における最終かつ永続的な和解をもたらすために不可欠であるとして、中東和平のための「ロードマップ」への協力を再確認した6つの決議案を賛成160・反対6・棄権5で採択した。

ソマリアへの武器禁輸強化を要請:安保理

 安全保障理事会は3日、実行力をもつ中央政府の欠如が国際テロ組織の活動の契機を与えたとして、ソマリアに対する武器禁輸強化に対する国際支援を呼びかけた。

民兵組織の牢から34名を解放:MONUC

 国連コンゴ民主共和国ミッション(MONUC)は3日、同国北東部の民兵組織である国家統合戦線/イトゥリ人民抵抗軍(Nationalist Integrationist Front / Ituri Popular Resistance Forces)の牢に身柄を拘束されていた37名の解放に成功したと報告した。

メディアを通した煽動で長期刑を宣告:ICTR

 ルワンダ国際刑事裁判所(ICTR)は3日、1994年のルワンダにおける大量虐殺において、メディアを通してツチ属に対する虐殺を煽動したとして Ferdinand Nahimana・Jean-Bosco Barayagwiza・Hassan Ngeze の3人の被告人に対し終身刑など長期の懲役を宣告した。

ユネスコ事務局長、ジャーナリストの暗殺を非難

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の松浦事務局長は3日、コーヒーと牛の密輸について報告したホンジュラス人テレビジャーナリスト German Antonio Rivas 氏の暗殺を非難した。

魚の乱獲による生物多様性縮小を警告:FAO

 国連食糧農業機構(FAO)は3日、人類の生存のためには極めて重要であるにもかかわらず農業・漁業に関する生物多様性がかつてない危機に瀕していると警告した。特に不法・無報告・無規制(IUU;illegal, unreported and unregulated)漁業が世界的に増加しており、これを取り締まることが急務であると指摘した。許可されている漁獲量の実に3倍がIUU漁業で乱獲されていると推定されている。

国際障害者デーにメッセージ:事務総長

 国際障害者デー(International Day of Disabled)である3日にちなみ、アナン事務総長はメッセージを発表し、世界で約6億人いると推定されている障害を持った人々が社会生活において全面的に平等に扱うよう要請した。

「今日の一言」 − Mines into Vines −

 2番目の記事の中に Roots of Peace というNGOが出てきますが、これは1997年に設立され、世界各地で地雷を撤去し、その跡地を農場にする活動をしている組織です。この組織に対してアナン事務総長は「死の種を生命の種で置き換えることで地雷(mines)をブドウの木(vines)に変えている」とメッセージを送ったこともあるようです。
 もちろん、その地域の食生活文化や植生状況の関係もあって常にブドウを植えるとは限らないのでしょうが、From Mines to Vines という1フレーズで、その運動の理念だけでなく、具体的な行動も指し示しているわけで、これは絶妙だなと思います。
 例えば「平和への貢献」というフレーズは、誰も反対できないけど、そこから具体的にどんな行動を採ったらいいのかさっぱりわからない。けれどFrom Mines to Vines だと何をなすべきかが明らかになっています。様々なスローガンを掲げる運動の展開において重要なところを突いているなと感じます。

[Roots of Peace Web site] http://www.rootsofpeace.org/home/home.html

12月 4日(木曜日) 阿部

事務総長、世界情報社会サミットで演説

 アナン事務総長は、ジュネーブで開催される世界情報社会サミット(WSIS:the World Summit on the Information Society)で演説する予定。翌11日にはドイツを公式訪問し、シュレーダー首相やフィッシャー外相と会談する。

安保理、対リベリア制裁を当面維持することに合意

 国連安保理は、協議の結果、対リベリア制裁を当面、維持することに合意。安保理議長である Stefan Tafrov ブルガリア大使が報道声明を発表。

安保理、コートジボワール武装勢力による停戦ライン越えの試みに憂慮を表明

 国連安保理は議長声明を発表し、コートジボワールの武装勢力による停戦ライン越えの試みに深刻な憂慮を表明する一方、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS:Economic Community of West African States)諸国及びフランスの平和維持部隊による阻止行動を歓迎。

安保理、公開会合を開催しブルンジ情勢を討議

 国連安保理は公開会合を開催しブルンジ情勢を討議。同国和平プロセスのファシリテーターを務めた南アフリカの Jacob Zuma 副大統領は、同国が昨年、和平と安定に向け大きな歩みを進めたが、現在、武装解除および兵士再統合、難民帰還の課題に直面していると情勢を報告。

12月 5日(金曜日) 作増

アナン事務総長、国連ボランティアの献身、勇気を歓迎

 アナン事務総長は、内戦、紛争、その他の人災のニュースがひしめく世界で、毎日その無私の姿が公表されるでもなく、数百万の人々のために献身を続ける多くの国連ボランティアの人たちの勇気に対し歓迎の意を表した。国連ボランティア・デーにおくったメッセージの中で、事務総長は、「ボランティアの方々は何故ボランティアなのか、とは問わず、むしろ、いつ、どこで、どのようにと問うのが常である。こうした勇気ある無私の人たちこそが、より公正で安全な世界を築いていく上で最も重要なパートナーなのである。」と述べた。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、イラク高官に援助申し出る

 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、イラク高官や市民社会の代表らに、人権の促進、保護を目的として法的枠組みが設立されていくのに伴い、専門知識を可能な限り提供していくことを申し出た。

アラブ女性・労働市場や政治参加上の遅れ目立つ、国連委員会報告

 アラブ地域の女性は、労働市場への参入や議会政治への参加という点で世界で最も低い率を示している、と国連女性問題アドバイザーは、アラブ女性の進展を査定する目的で設立された国連委員会の第一回ミーティングで述べた。

アフガニスタン、帰還難民のための国連避難所計画完遂に近づく

 アフガニスタンでは、数千人を越える帰還難民のために避難所を用意するという国連計画に従って、52,000戸の住居の建設がほぼ完成した、と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が発表した。UNHCR報道官の Kris Janowski 氏は、タリバン統治下での数年間の紛争後、今年になってアフガニスタンに帰還した170,000人以上の人々に避難所を用意するために既に34,000戸の住居が完成した、と発表した。

国連教育科学文化機関(UNESCO)、フィリピン人ジャーナリスト殺害を非難

 国連教育科学文化機関(UNESCO)の松浦晃一郎事務局長は、今週起こったフィリピン人ラジオジャーナリスト、 Nelson Nadura 氏が殺害されたことに対し、これでフィリピンで今年殺害されたジャーナリストは5人目であるとして強く非難した。松浦事務局長は、パリにあるUNESCO本部から送られてきた声明文の中で、フィリピンのアロヨ大統領が、こういったジャーナリストを狙った襲撃を必ず公表、出版していくという誓約を行ったことに対し歓迎の意を表した。

「今日のひとこと」 国連ボランティア

 1番目の記事で、国連ボランティアに関して取り上げられていましたが、国連大学出版局から国連ボランティアたちの現場からの生の声を収録した「平和のつくり方」という良質の本が発行されています。
 その本の中で、紛争後のモザンビークではじめての民主性の選挙を支援、監視する目的でボランティアとして志願派遣されたグラウシア・バズ・ヨシウラさんという人の体験報告が掲載されていますが、とても印象深かったので少し紹介してみます。
 「国連ボランティアたちは、まず第一に、モザンビークの人々のことを思っていた。国内の至る所で生活し、働いてきたが、私たちは一方的に命令を下すのではなく、むしろお互いに外国語や伝統、新しい技術を習ったり教えたりするなど、情報交換をしようという心構えで行動してきた。責任の重大性は問題にはならなかった。ただ私たちは、一刻も早く、モザンビークに平和と民主主義の到来することを願った。というのも、私たちはモザンビークの人たちが、自分たちの手でそれを達成することができると確信していたからである。」

 ここではボランティアにありがちな、寛容という名の下の傲慢さは微塵も感じられません。むしろボランティアという組織の枠組みの中でありながらも、1対1の対等な人間同士の絆や交流がありありと見て取れます。このボランティアの一人一人が、‘外側から来た人間‘から、‘内側の人間‘になろうとする努力の中で実質的なモザンビークの民主化は進められていったのだと思います。
 「このような国連の現場外交官らは、モザンビークの選挙を監視しただけでなく、来るべき冷戦後の民主化を内側から整えた。こうした側面のボランティア外交、日々の小さな行動が信頼を得ることはしばしば忘れられがちであったが、これらが結局、モザンビークの人たちの自助努力を育てる環境をつくるのに役立ったのである。」
 人間として人間を信じ抜くということ。そういった意志を持続し、行動を継続すること。そうやって心が一つにとけあった時、大きな歯車が動いていく―――何気ない日常に隠れたちいさなこと、それが大事なんだということがひしひしと伝わってきました。
 またそれと同時に人間が人間をモノとみなしたり、蔑んだりすることは本来とてもアブノーマルなことなのではないかと感じました。とはいっても実際の社会ではこんなことは日常茶飯に行われているわけですが、だからといって「これが普通なんだ」、アブノーマルな社会に安易に順応することなく、むしろ人を信頼する。対等な立場で相手を思いやる。といった人間として本来ノーマルなことを率先して行っていく。これほど尊いこともないのではないかと思います。それは状況に関係なく、先進国であっても途上国であっても同じだと思います。
 この本で書かれている核心の部分は、ボランティアのあり方という狭い枠に限られることなく、人間としての生き方を改めて認識させてくれたように感じました。
 実際ヨシウラさんはボランティアの経験を振り返ってこう語っています。
 「個人的には、人生や自分自身について多くを学ぶことができた。苦労している人々に直接会う機会を得て、‘幸せ‘への道を教えてもらった。モザンビーク人との交わりのなかで、私は本物の人生を取り戻すことができた。それは人々とその人々の幸せが大切なものだということである。‘幸せ‘は必ずしも、単にものがあればいいということではない。私は物質的に裕福に育った訳ではないが、モザンビークでの生活を経験して、幸せになるためには多くを必要としないことが分かった。必要なのは、生きて、働いて、そのもてる能力を可能な限り生かせるチャンスである。私たちは全て、尊厳を持って生きる権利を持っている。」
 私たちは与え、そして与えられている。この事実をしっかりと心に刻んでいきたいと思います。

12月10日(水曜日) 山本

イスラエル・パレスチナ双方が約束を守るよう要請:特別調整官

 ラーセン国連中東平和プロセス特別調整官(UN Special Coordinator for the Middle East Peace Process)は10日、パレスチナ支援アドホック連絡委員会(AHLC:Ad-HocLiaison Committee)に参加し、イスラエル・パレスチナの双方が約束を守るとの要望を新たにすることを要請した。

UNDOFへの活動委任期限延長を勧告:事務総長

 アナン事務総長は安全保障理事会に対し国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)への活動委任期限を6か月延長することを勧告した。

コートジボアールの状況は改善

 Carolyn McAskie コートジボアール危機事務総長人道特使(Humanitarian Envoy of the UN Secretary-General for the crisis in Cote d'Ivoire)は10日、同国への4回目の評価ミッションについて語り、状況は改善しつつあると発表した。

アフガンにおける駐屯部隊による子どもの殺害に懸念を表明:事務総長特別代表

 カブールの南西の街 Gardez で先週金曜に合衆国主導の連合部隊により6名、土曜に Petaw の街で9名の子どもたちが殺害されたことが10日に判明したことに対し、Olara Otunnu 子どもと武力紛争担当事務総長特別代表(Special Representative of the Secretary-General for Children and Armed Conflict)は深い懸念を表明し、今後このような悲劇が再発しないような措置をとることを要請した。

被告の元陸軍将軍の応召を要請:ICTY

 旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所(ICTY)は9日、セルビア・モンテネグロに対し期限までに、ユーゴスラビア陸軍将軍であった Pavle Strugar 被告人を出廷させることを要請した。 Strugar 被告人は1991年にクロアチアのドブロブニク市への包囲攻撃の際における文民への攻撃と殺人で訴えられており、健康上の理由で法廷のあるハーグから本国に帰国していた。

社会制度に関する設計書を発表:UNMIK

 国連コソボミッション(UNMIK)は10日、自由かつ公正で定期的に実施される選挙・自由なメディア・健全で公平な司法制度の設立に向けた設計書にあたる「コソボにおける標準(Standards for Kosovo)」と題する文書を発表した。
[Standards for Kosovo] http://www.unmikonline.org/press/reports/standards.pdf

リベリアにおける騒動に対し懸念を表明:事務総長

 アナン事務総長は10日、リベリアにおける元兵士による給料支払い要求のために起こした発砲事件に対し懸念を表明した。同国では武装解除・動員解除・社会復帰・再定住プログラム(DDRR;disarmament, demobilization, reintegration and rehabilitation programme)が始動したばかり。

イラクの安定化には軍事行動では不十分:事務総長

 アナン事務総長は10日、イラク情勢に関する最新報告を提出し、多くの地域において基本的人権や言論の自由の確保は状況が改善しており、単なる軍事行動以上のものが解決をもたらすと発表した。

イラク国連臨時特別代表を任命:事務総長

 アナン事務総長は10日、今年8月に爆破テロの犠牲となったフィエラ・デ・メロ氏の後任のために、臨時特別代表として Ross Mountain 氏を任命した。

人身売買の犠牲者の尊厳をまもる合意に特別代表代理が署名

 Jean-Christian Cady 警察・司法担当コソボ国連事務総長特別代表代理(Deputy Special Representative for the United Nations Secretary-General in Kosovo (Police and Justice))は10日、ソフィアで開催された南東ヨーロッパ安定協定・人身売買タスクフォース(Stability Pact for South-Eastern Europe Task Force on Trafficking in Human Beings)の第4回地域閣僚フォーラムに参加し、人身売買の犠牲者と目撃者の権利と尊厳を守る協定に署名した。

国連腐敗防止条約に45か国が署名

 メキシコのメリダで開催されている国連腐敗防止条約(UN Convention against Corruption)締結国会議に世界から120か国以上の代表が集まり、既に45か国が署名した。

アフリカ各地でコミュニティセンターが始動

 ユネスコの松浦事務局長は10日、アフリカにおける150以上のコミュニティマルチメディアセンター(CMCs;community multimedia centres)の始動に際し、コミュニティへの情報技術の導入で貧者と富者の間に情報技術で掛け橋をかけることができるとのメッセージを発した。このセンターではラジオ放送局や電話、インターネットを利用するための施設となる。

気候変動枠組み条約締結国会議にメッセージ:事務総長

 ミラノで開催された第9回国連気候変動枠組み条約(UNFCCC;UN Framework Convention on Climate Change)締結国会議に対しアナン事務総長はメッセージを送り、各国に温室効果ガス削減を目指した京都プロトコルの批准を呼びかけた。

今年の自然災害額は600億ドル

 国連環境計画(UNEP)のテプファー事務局長は今年の自然災害について昨年は被害額が550億ドルであったのに対し、今年は600億ドルにものぼると報告し、気候変動に関連して懸念を表明した。

12月12日(金曜日) 作増

情報社会への移行が開発目標への一助に

 情報社会へと変革していくことによって、国家同士が情報通信技術(ICT)から得られる利益を共有するよう協力し合うようになり、それによってミレニアム開発目標(MGDs)を達成することができるようになる、と最初の世界情報社会サミット(WSIS)で国連高官が述べた。
 世界情報社会サミットの2日目には、国連教育科学文化機関(UNESCO)の松浦晃一郎事務局長が、UNESCOはデジタルと情報の機会が共に繁栄する社会を建設するには、表現の自由・教育の平等・万人の情報享受(公共部門も含める)・多言語使用も含めた文化的多様性の保護、促進の以上4つの原則が基盤になることを確信している、と述べた。

国連 E-Schools 計画、途上国の生徒と村民を結ぶ

 ボリビア、ガーナ、インド、ナミビアの学校児童数千人は、情報通信技術(ICT)を通じて途上国の学校と農村を結びつようとする国連プロジェクトによって、インターネットやその他のデジタル導入による学習を開始する予定。

国連・マイクロソフト社共同プロジェクト、難民キャンプにコンピュータ・トレーニングもたらす

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とマイクロソフト社はジュネーブで、ケニアとロシア連邦にある難民キャンプにいる人々にコンピュータ教育とトレーニングを施すという協定を結んだ。

情報サミット3日目、国連高官協力の必要性強調

 世界情報社会サミット(WSIS)の3日目に、国連高官らは、開発活動における情報通信技術(ICT)の潜在的な力を拡大し、また貧しい国におけるICTの必要性も考慮していくためには、世界規模の協力が必要であると強調した。

平和への小さな窓は開かれた、国連中東特使報告

 中東和平プロセス再開のための機会が訪れはしているものの、状況はいまだ不安定であり、唯一の実行可能な解決策はロードマップに従っていくことである、と国連中東特使が安全保障理事会に報告。中東和平プロセス特別調整官 Terje Roed-Larsen 氏は、この機会を無に帰さないためには、イスラエル・パレスチナ双方の信頼関係が構築できるような方法による段階的な歩み寄りが大事である、と述べた。

「今日の一言」 情報戦争の時代

 今回配信のニュースでは大々的に情報社会について取り扱われていましたが、情報社会のもたらす脅威というものについてもう一度深く考えてみる必要があるように思います。
 たとえばイラク戦争のときも、アメリカでは多くのメディアが反イラクの論調を敷き、そうした情報の発信に伴い世論も形成されていき、その結果アメリカは政府の思惑通り戦争へと突入することができました。
 こうした事情に反映されているように、今や対外的には‘向かうところ敵なし‘のアメリカも、国内世論に対しては弱腰なところがあり、政府は大事な政治的決断を実行するときはメディアに対して細心の心配り(対策)を練っておくのが常のようです。それだけメディアによる影響は大きく、その分情報の発信者にはそれ相応のモラルと責任が問われるのも事実です。
 高木徹著の「戦争広告代理店」という本では、ボスニア紛争の際に裏舞台で暗躍したアメリカの大手PR企業を密着取材し、その巧みな情報戦術によってボスニア支持の国際論調を作り上げていき、最終的にはアメリカ国務長官をも動かし、結果的に情報戦で遅れをとったセルビアに対しボスニア側が圧倒的有利に紛争を終結させていくまでのプロセスが余すところなく描かれています。
 その中で主人公のアメリカの大手PR企業の局長がいう台詞。

「どんな人間であっても、その人の評判を落とすのは簡単なんです。根拠があろうとなかろうと、悪い評判をひたすら繰り返せばよいのです。ですから、この種の攻撃は大きなダメージにつながることがあります。たとえ事実でなくとも、詳しい事情を知らないテレビの視聴者や新聞の読者は信じてしまいますからね。」
 通信手段が発達し、世界的規模で情報を共有し得る現代。その一方で情報が氾濫し、それを操作することで利益を得ようとするものが暗躍する社会。私たちは情報社会のこうした負の側面にも注意を払わねばならないと思います。
 その上でニュースで書かれているごとく、人類が情報社会からプラスの恩恵を受けるためには、そういった情報の真偽を判断できるよう個々人が、自らの行動原理にまで昇華し得るような哲学を持つ以外ないのではないでしょうか。
 情報社会の到来はモラル紛争の始まりでもあると思います。私たち一人一人がどのような哲学をもって生きているのかが厳しく問われる時代にはいったといえるのではないでしょうか。

12月17日(水曜日) 山本

コンゴ民主共和国難民帰還の準備に着手:UNHCR

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は激しい戦闘のためにコンゴ民主共和国から避難した難民432,000人の帰還準備に着手しており、まず最初に300人の帰国の準備を整えた。

コロンビア反政府勢力に市民の解放を呼びかけ:事務総長

 アナン事務総長は17日、長期化するコロンビア内戦において誘拐された一般市民を解放し、暴力を終結させ対話を更新することをコロンビア革命軍(FARC;Revolutionary Armed Forces of Colombia)と国民解放軍(ELN;National Liberation Army)に呼びかけた。

クメール・ルージュ特別法廷設立に合意

 先週プノンペンを訪れていた国連技術評価ミッション(UN Technical Assessment Mission)は17日、クメール・ルージュ(Khmer Rouge)の元指導者たちを裁く法廷の設立についてカンボジア政府と合意に達したと報告した。

食糧価格の急騰が家計を圧迫:ジンバブエ

 国連人道関係調整事務所(OCHA)は17日、旱魃と HIV/AIDS による死と、経済状況の悪化に見舞われているジンバブエで、先月だけで基本的な食糧(トウモロコシ・砂糖・小麦など)の価格が1.5倍程度に急騰し、平均的な家庭の家計の手の届かない水準となっていると警告した。

ラテンアメリカ・カリブ海地域の経済は若干の改善が見られる

 国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)は今年の同地域の経済情勢に関して報告を行い、年率1.5%の成長の見込みであると発表した。これまで6年間マイナス成長が続いていた同地域にとっては喜ばしい状況。特にアルゼンチンの経済回復が目覚しい。

台湾で新たにSARS感染者を確認

 世界保健機構(WHO)は台湾で44歳の研究所職員がSARSを発症したことを確認し、発見後に適切な安全手順がとられたことを保証するようその研究所に対して要請した。

アフリカでさらなる平和維持活動が必要:DPKO

 国連平和維持活動局(DPKO;UN Department of Peacekeeping Operations)は16日、将来のアフリカにおける平和維持活動の拡大の見通しを示し、ミッションへの兵力の派遣を加盟各国に要請した。

記録的な温暖さであった2003年:WMO

 世界気象機関(WMO;World Meteorological Organization)の発表によれば今年の気温は過去1世紀半の中で3番目に暖かく、南極のオゾンホールの大きさは過去最大となり、北極の開票の大きさは過去最低となった模様。詳しい報告書は来年3月に出版される。

国連に関するゲームを開発;UNECE

 国連ヨーロッパ委員会(UNECE;UN Economic Commission for Europe)は若年層をターゲットにした国連と持続可能な成長に関する知識を身につけてもらおうと、3つのコンピュータゲームを開発した。国連が立ち向かうべき問題を「バグ(虫)」として打ち負かすのがゲームの目的である。

〔訳注〕
本文にはそのゲームの名称・購入方法が具体的に書いていません。詳細は http://www.unece.org/press/pr2003/03gen_p13e.htm にありますが、どうも「ジュネーブの国連本部の販売部に聞け」とのことのようです。

12月19日(金曜日) 作増

ニュージーランド首相、飢餓撲滅への尽力で国連賞

 ニュージーランドの Helen Clark 首相が、食糧安定と国際協調の促進への尽力が評価され、国連食糧農業機関(FAO)からメダルを受賞した。FAOの Jacques Diouf 事務局長は、ニュージーランドの首都ウェリントンで行われたセレモニーで、飢餓との闘いで傑出した貢献を行った女性に贈られるメダルを Clark 女史に授与した。

国連人口基金(UNFPA)、記録的な数の支持者を得る

 国連人口基金(UNFPA)は、2003年度において142カ国という記録的な数の国から支援を受けた。これは過去最高の数字であり、支援を行った上位6カ国には、オランダ、日本、ノルウェー、イギリス、デンマーク、スウェーデンがあげられた。なおアメリカは2003年度は支援国にはならなかった。

西アフリカのポリオ拡大、世界的な撲滅キャンペーンの脅威に

 西アフリカにおけるポリオ(小児麻痺)の驚異的な拡大が、世界規模で展開されているポリオ撲滅キャンペーンの最大の脅威になると警戒を行ったうえで、国連児童基金(UNICEF)は、西アフリカ地域での病気の伝染を食い止めるため、年内における緊急プランを採用するよう要求した。

アナン事務総長、西アフリカ地域での紛争防止策を奨励

 アナン事務総長は、西アフリカ諸国に対して、政府によって発生した紛争が、憲法上の基本理念を侵害し、統治上の基本原則にも背くものとして、それを未然に防止する対策を練るよう提案を行った。

民族間衝突で揺れ動くエチオピア、治安改善へ

 エチオピア難民が逗留しているガンベラの治安は、今週早くに起きた民族間暴動以来、改善の方向に向かっている、と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が報告。ガンベラではいまだ緊張状態が続いているが、エチオピア軍が姿を現してからは、商店や政府施設、航空機の運行も再開し、通りにも人々が見られるようになった、と Ron Redmond 道官が報告。

「今日の一言」 難民生まぬ世の中に

 森岡正博著の「無痛文明論」を読みました。
 その中で著者は「無痛文明」を‘苦しみとつらさのない文明‘と定義した上で次の ように説明を続けます。

「たとえ苦しみやつらさがあったとしても、そこからどこまでも目をそらしてゆく仕組みが、社会のすみずみにまで張りめぐらされている文明のことである。われわれは、そこで快適さや快楽を得るが、それとひきかえに、「よろこび」を奪われ、自分を内側から破って自己変容する可能性を閉ざされてゆく。その先にあるものは、何か。それは、快楽と眠りに満ちた、生きながらの死の世界だ。すべての人々が表面上はにこにこ笑いながらも、心の奥底では絶望して、かつその絶望からも用意周到に目をそらし続けていくような世界だ。」

 これはまさに先進国の病理に満ち満ちた現状そのものの描写だと思います。これに引き続き著者は「無痛化」を引き起こす原因を、われわれ自身の内部に潜む「身体の欲望」に見いだします。

「苦しみよりも快楽のほうがほしい、手に入れたものは手放したくない、隙あらば拡張したい、他人を少々犠牲にしてもかまわない、人生と自然をコントロールしたいという「身体の欲望」が、現代社会を次々と無痛化する。「欲望」が「よろこび」を奪うというのが、現代文明の本質なのである。」

 この無痛化現象は先進国の問題にとどまらず、途上国の「難民化」をも併発させていると思います。
 日本のマスコミでも最近「痛みを伴う改革」というフレーズを使っているようですが、ここで問題だと思われるのは、痛みが特定の人たち―――大部分が社会的弱者に集中してしまっている点だと思います。これを世界的規模に発展させれば、「弱者」=「難民」という定式が自然と導き出されるのも納得できることと思います。結局、自分に対する痛みを感じられる人でないと、結果として、他者を犠牲にして生きていくという道を選び取ってしまうということだと思います。そして世界的に見てその最大の犠牲者は社会的に最も弱いもの―――途上国における女性や子供になってしまっているのが現状です。
 かつて日本の桂冠詩人は難民を「難と戦う勇者」と評しました。
 勇者とは他者の痛みを分かち合える本物の人間性をもつ人のことだと思います。他者の痛みを分かるようになるには、自分自身が自分の弱さや様々に起こる辛いことと真正面から向きあい、乗り越えていく以外方法はないのではないかと思います。
 難民生まぬ世の中をつくるために先進国の人がまずできることは、この無痛文明と戦い続け、生の歓喜、つまり人間的に成長しようという葛藤を通して得られる充実感を手に入れることだと思います。

12月24日(水曜日) 山本

2004-2005予算案を承認:国連総会

 国連総会は24日、2004-2005年次予算案(31.6億ドル)を承認した。金額(実質)は昨年と変わらないものの、人道支援活動への配分を厚くするなどの調整が行われた。

新年に向けてのメッセージを発表:事務総長

 アナン事務総長は24日、新年にむけたメッセージを発表し、世界の指導者に、毎年何百万人を死に至らしめる悪と戦うよう要請した。その悪とは極度の貧困・安全でない飲料水・環境の破壊・風土病・伝染病などを指している。

コモロの和解合意を歓迎;事務総長

 独立問題が焦点となっていたコモロ及び近傍の自治領である3島(Anjouan, Mwali, Ngazidja)との間で先週土曜日に暫定合意に達したことを24日に事務総長が発表、歓迎の意を表明した。コモロは1975年にフランスから独立したが、1997年に Anjouan 島が独立を宣言し分離独立問題が起こっていた。

世界銀行、アフガニスタンの開発支援に出資承認

 世界銀行の執行取締役会は23日はアフガニスタンの支援を手がけている国民連帯プログラム(NSP;National Solidarity Program)に対して9500万ドルの貸付を承認した。NSPはアフガニスタン国内の地域の財政を支援したり灌漑施設の建設などに出資している。

ボツワナ政府による難民の強制帰還を非難:UNHCR

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は24日、ボツワナ政府が8人のナミビア人難民を強制的に母国に帰還させたことについて非難した。今回のボツワナ政府の行動は、難民を迫害を待つところに追放したり帰還させたりしてはならないというノン・ルフルメント原則(Principle of non-refoulement)に違反している。

フィリピンの洪水で死者149名以上

 先週フィリピン中央部を襲った洪水・地すべり・竜巻の罹災者は20万人以上、犠牲者は143名となっていると国連人道関係調整事務所(OCHA;Office for Coordination of Humanitarian Affairs)は報告した。

重金属排出制限議定書が発効に

 重金属(カドミウム・鉛・水銀)の排出制限に関する取り決めであるオーフス議定書(Protocol on Heavy Metals)が来週月曜日に発効となる予定。この議定書は国連ヨーロッパ経済委員会(ECE)の長距離越境大気汚染条約(Convention on Long-Range Transboundary Air Pollution)に対するもの。

人道支援活動NGOへの攻撃を非難:UNHCR

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は24日、声明を発表し、先週の金曜日に人道支援NGOの Corporacion Casa de la Mujer の事務所を襲撃し、コンピュータファイルとドキュメントを奪った武装集団を非難した。同NGOは国内避難民の支援を国連とともに実施していた。

「今日の一言」 − 2004 must be different. −

 今年も残り少なくなってきました。私個人は、結婚したりとか大学院に通い始めたりとか大きな変化のあった年なのですが、皆さんはいかがでしたでしょうか。
 2番目の記事のアナン事務総長の新年に向けたメッセージには次のような箇所がありました。

「苦悩にあえぐ人々の生命に希望をもたらそう。平和は開発と希望なしには成り立たないのだ。これらの目標を達成するには世界が戦争兵器のために費やしている金額の何分の1かの費用で十分である。」
「けれども、我々は2003年にはこれらの約束にしたがって行動してこなかった。2004年は去年とは異なっているべきである。("2004 must be different.")」

 新年の挨拶でよく、「今年も相変わらずよろしく」と言いますが、それは「変化が なく」ということで、それはそれで困ることもあるわけで。今年は悪い年だった方はよい方向に変わり、今年がよい年だった方はよい方向に変わりますように、と思います。
 おそらく今回の配信が私の担当では今年最後の配信になるかと思います。というわけで、みなさん、よいお年を。

12月25日(木曜日) 阿部

国連総会議長、総会がこの1年間に達成した成果と課題について総括

 第58代の国連総会議長であるセントルシアのJulian Hunte外相は、総会がこの1年間に達成した成果と課題(the Year's Major Achievements and Challenges)について、国連ラジオのAnne-Marie Ibanezに語った。(http://www.un.org/av/radio/news/2003/dec/03122501.ram

世界情報社会サミットついて、国連ラジオがレポート

 ユネスコが主催し、50ヶ国以上の代表がジュネーブに集まって開催された初の世界情報社会サミット(WSIS;World Summit on the Information Society)について、国連ラジオのBissera Kostovaがレポートを行った。(http://www.un.org/av/radio/news/2003/dec/03122502.ram

「今日の一言」― UN Radio ―

 この25日は、クリスマス・デーということで、国連サイトのどこを見てもニュースの発表や記者会見が発表されておらず、困ったな、とサイトを探検していましたら、一つだけありました。ラジオです。(http://www.un.org/av/radio/news/
 国連ラジオは、毎日15分間のプログラムを6ヶ国語で放送しており、インターネットでそのアーカイブにアクセスできます。内容は、いわゆるデイリーニュースのようなものからインタビュー、そして現場からのレポートなど、なかなか有意義な内容です。
 過去のSUNの配信内容を探してみると、2001年9月に、国連広報局の局長が国連総会に対し、国連ラジオのニュース放送は革新的な成功をおさめているが、次の会計年度の予算が組まれていないことを受けて、加盟国に、国連ラジオの存続を求める演説を行っています。
 残念ながら、日本語による放送はないようですが、この際ですから英語に親しんで、国連の活動をより活き活きとした形で知っていただければ素晴らしいと思います。

 さて、私も年内はこれで最後になるかと思いますが、2004年はさらにスタッフの補強も図りながら、充実した内容の配信に努めていきたいと考えています。この2,3ヶ月は、SUNのスタッフの多くが本業?に忙殺され、なかなか配信が思うに任せない状況でしたが、年明けからは、

月/Tat 火/阿部 水/山本 木/阿部 金/けい

という体制で活動を展開してまいります。ご愛読のほどよろしくお願いいたします。
そして、よい年をお迎えください!

12月26日(金曜日) 作増

国連核監視機関、ブルガリアから武器使用ウラン除去

 潜在的に武器使用可能な原子物質を保護する取り組みの一環として、国連核監視機関はブルガリアに対し、首都ソフィアにある閉鎖された調査原子炉に貯蔵されていた濃縮ウランの除去作業の支援を行った。

国連リベリア平和維持軍、反政府軍根拠地まで拡大開始

 国連リベリア平和維持軍は、この2,3日中に3つの反政府軍の根拠地まで軍を展開配備し、1月末までには国の大部分を制圧するであろう、と軍指揮官が述べた。Daniel Opande 将軍は国連ニュースサービスに対し、国連リベリアミッション(UNMIL)は12月末までに首都モンロビア、モンロビア北東140キロにあるリベリア和解・民主連合(LURD)の根拠地 Gbarnga、南東120キロにあるリベリア民主運動(MODEL)支配下の港湾都市 Buchanan に永続的な守備隊を設置することができるだろう、とコメントした。

国連研究集会、パキスタンで難民の合法的権利を主張

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、パキスタンが、難民から女性、子供の捕虜にまでわたる多くの人権問題に取り組めるよう2日間にわたる研究集会を開いた。水曜に開かれた集会では、UNHCRの Philip Karani 氏が、ここ20年間の難民の扱いに関して避難施設を用意するなど寛容かつ善意に満ちていたとして、パキスタンの業績に対し賛辞の言葉を贈った。

アフガニスタン爆弾事故、国連職員無傷で生還

 アフガニスタンの首都カブールでは、6人の国連職員が生活する建物で爆弾事故が起きたが、一人もけが人は出なかった、と国連アフガニスタン支援団(UNAMA)が報告。

国連、イラン大地震に対し資金と緊急チーム派遣

 イラン南西部を襲った大地震で多数の死傷者が出たとするイラン政府の報告を受けて、国連は資金や救助活動に従事する専門家を急派した。アナン事務総長の報道官はニューヨークで、国際社会は多くの被災者たちを援助する取り組みを支援するよう要求した。

「今日のひとこと」 友の足音

「真っ暗な闇の中を歩み通す時、助けになるものは、橋でも翼でもなく、友の足音である」(W・ベンヤミン)

 今まで様々な場所で平和への意志を持つ人たちと出会い、その都度色々なことを学ばせていただきました。もちろんこのSUNでの翻訳もその中の一つといえるのですが、そういった経験を踏まえさせていただいた上で一つ確かにいえることは、志を同じくする人たちの存在ほど有難いものはなかった、ということです。
 平和を作るという一種理想主義的な信念を披瀝する時、必ず現れる高邁な理論を持った現実主義者。一旦臆病な心が芽生えるとすぐに挫けそうになる弱い自分。一つの志を抱きそれを実際にやり遂げようと行動に移すときには、必ずといっていいほど自分の外と内にこの種の障壁が立ち塞がるものですが、そこでどうするか。ここから本当の意味での平和作りが始まるといえるのだと思います。ユネスコ憲章に謳われているように、戦争や平和といっても人間の心から生まれるものなのであるから、その心というものにまず平和の砦を打ち立てねばならない。まさに先ほどの葛藤を乗り越えて、個々人が一歩心の前進を遂げることが平和作りに関して一番求められていることだと思います。
 もちろん個人間で信条の違いや、分野の違い、またやり方の違いがあるとはいえ、平和を求める思いがなくならない限り私たちは共闘していける。またそれにも増して、そういう心を持った人たちがいる、頑張って生きているという事実が何よりの心の支えになるということを学べたことが私個人の最大収穫だと思っています。
 私は来年初頭から某途上国で長期間生活することになります。そのためSUNの戦線から今年一杯で外れることになるわけですが、この実現可能か分からない「真っ暗な道」を、たとえ友から離れていたとしても「一人で歩く」、これだけは必ず続けていきたいと思います。志を同じくする「友の足音」を聴きながら。
 稚拙な翻訳や、至らないコメント等、色々ご迷惑もおかけしましたが、私個人も来年から新天地でさらに精進していく決意です。またSUNのほうも心機一転、一層の充実を図っていく決意ですのでご愛読の程よろしくお願いいたします。
 最後に私個人の決意を込めて一詩贈らせて頂き終わりにしたいと思います。来年もよいお年を!

「丈夫 四海を志さば 万里も猶 比隣の如し」(曹植)
(若者が大きな志をもって世界に飛翔するならば、世界といってもごく近場のようなものである)

12月31日(水曜日) 山本

平和維持部隊が反政府勢力支配地域に展開開始

 国連平和維持部隊は31日、これまでリベリア反政府勢力の支配下にあった2つの地域に展開を開始した。
 バングラデシュからの部隊はリベリア民主運動(MODEL;Movement for Democracy in Liberia)の根拠地である港湾都市 Buchanan に、パキスタンからの部隊がリベリア和解民主同盟(LURD;Liberians United for Reconciliation and Democracy)の支配地域である Tubmanburg 市にそれぞれ展開する。

石油食糧交換プログラム収益を振り替え

 国連は31日、石油食糧交換プログラム(Oil-for-Food Programme)」による収益である26億ドルをイラク開発基金(Development Fund for Iraq)に振り替えた。

イランの地震罹災援助に資金拠出を要請

 26日にバム市(イラン)で発生した大地震のために約2万人が死亡、約5万人が負傷し、うち約11,000人が病院に運ばれ、約7万人は家屋を失う状態となり、救援活動が始まっているが、夜間の気温低下や不十分な水の供給・衛生状態のために地震を生き残った人たちが危機にさらされているとし、世界保健機関(WHO)は緊急支援のため350万ドルの拠出を呼びかけた。

シエラレオネ支援に資金拠出を要請:事務総長

 アナン事務総長は国連シエラレオネミッション(UNAMSIL)の最新報告を発表し、同国の情勢安定化の促進を目指し軍と警察の機能を改善し、信頼するに足る機構とするための資金援助を要請した。

コソボ自治区の予算を発表

 コソボ国連事務総長特別代表の Harri Holkeri 氏は31日、2004年のコソボ自治区の予算を発表した。歳入は6億1900万ユーロ、歳出は6億3200億ユーロであり、1300万ユーロの超過である。歳出の5分の1が道路などの社会資本整備に投下される。

南部アフリカで旱魃のため飢饉の恐れ

 国連地域機関調整支援事務所(UN Regional Inter-Agency Coordination Support Office)は31日、南部アフリカの農業生産について発表し、最近の降水量の低下により、播種が遅れたり生育がうまくいかなかったりで産出高が見込みより大きく減少する恐れがあると警告した。

UNICEF は2004年の重点課題を発表

 ユニセフは31日、2004年の重点課題として、戦争に苛まれ、HIV/AIDSの脅威にさらされ、搾取を受け、社会サービスを満足に受けられない子供たちを支援していくことを発表した。

国連難民高等弁務官、2003年を振り返る

 ルベルス国連難民高等弁務官は2003年を振り返り、危険増大の懸念があるにもかかわらず、約2000万人に対する永続的な解決のために人道援助活動がなされ若干ではあるが進歩が見られている状況を受け、「悪しき世だがよい年("a good year in a bad world")」と評価した。

中国のSARS疑い例患者は未確定

 世界保健機関(WHO)のSARSに関する最新報告によっても、最近中国広東州で発見されたSARS疑い例患者に対して行われた検査ではSARSと確定できず、さらなる検査が必要であるもよう。患者は32歳の男性で、症状は安定している。

「今日の一言」 − Neujahrskonzert −

 みなさん、あけましておめでとうございます。
 2004年はじめての配信となります。
 ウイーンフィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサート(Neujahrskonzert)の再放送を見ながら翻訳をしていたところです。
 このコンサートは毎年元旦にウィーンの楽友協会・黄金のホールで開催されるコンサートであり、クラシックファンにとっては垂涎もののコンサートで、そのチケットは入手がきわめて困難な(ついでに結構値段もはる)プラチナチケットなのです。一昨年(2002年)には小澤征爾が指揮をして日本でも話題になりましたね。
 さて、このコンサートではアンコールに「美しき青きドナウ」や「ラデツキー行進曲」を演奏するのが恒例で、その前に指揮者による挨拶があります。その際に今年の指揮者であるリッカルド・ムーティ氏は次のように語りました。

「この痛みと紛争に満ちた世界に、平和が訪れるよう祈りながら、シュトラウスの音楽を奏でたい」

 読者の皆さんは平穏なお正月を迎えておられることと思いますが、少し「この痛み と紛争に満ちた世界に、平和が訪れるよう」思いをはせてみてください。

〔ウイーンフィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサート〕
  http://www.wienerphilharmoniker.at/ja/neujahrskonzert.shtml
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Updated : 2007/02/18