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Title : November 1999
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11月2日(火曜日) 文責:山本

■事務総長は故ラビン首相の遺業継承を要請

 アナン事務総長は、イスラエル首相だった故ラビン氏の中東和平に関する活動を賞賛し、彼の遺業を継承し、同地域の和平を推進することをイスラエル指導部に要請した。

豪外相が東チモールの多国籍軍から国連平和維持軍の円滑な移行を強調

 オーストラリア外相の Alexander Downer 氏は、東チモールの平和と治安について触れ、現在展開中の多国籍軍から国連平和維持軍への円滑な移管が必要であると強調した。

事務総長は安保理にコンゴ民主共和国への軍事監視団派遣承認を要請

 コンゴ民主共和国における国連の諸活動が多大な困難に直面しているという状況を踏まえ、アナン事務総長は安全保障理事会に軍事監視団派遣の承認を要請した。
 この監視団は UN Observer Mission in the Democratic Republic of the Congo (MONUC;仮訳:国連コンゴ民主共和国監視ミッション)と命名され、500名ほどの人員になる予定。

国連はシエラレオネにおける紛争に懸念を表明

 事務総長特別代表の Francis Okelo 氏は声明を発表し、和平協定(the Lome Peace Agreement)が蹂躙されていることに重大な懸念を表明した。
 ちなみにシオラレオネからの難民はこれまでに47万人に達している。

■事務総長、開発や人権と統治の関係を強調

 アナン事務総長は、シアトルで開催される世界貿易機関(WTO)の会合に先立ちメッセージを公開し、「相互依存の世界においては、共有された価値観と連帯に根ざした世界的倫理により、人道が導かなければならない。」と強調した。

UNHCRはチェチェン紛争での難民増加に懸念を表明

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、チェチェン紛争で難民が激増していることに関し、懸念を表明した。同時に、先週金曜のロシア軍によるチェチェン避難民へのロケット砲攻撃に対し警告した。UNHCRによれば、1日に5,000から7,000人が国境を超えている。

アンゴラ内戦でザンビアに難民流出

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、アンゴラにおける内戦で過去3週間で急激に隣国ザンビアへの難民流出が増加したと報告。
 アンゴラでは、アンゴラ政府軍とアンゴラ全面独立民族同盟(UNITA)との内戦が継続、これまでも多くの難民がザンビアに流出しており、Meheba と Mayukwayukwaにある難民キャンプには最近32,000人が到着したとされ、その他に国境地帯に12万人が避難していると伝えられている。

旧ユーゴ国際刑事裁判所の所長は、捜査に非協力的な国があると警告。

 旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所(the International Criminal Tribunal for the former Yugoslavia;ICTY)の所長 Gabrielle Kirk McDonald 判事は安全保障理事会に対する書簡において、戦争犯罪の容疑者の逮捕と送還に非協力的な国(ユーゴスラビア共和国連邦・クロアチア・ボスニア=ヘルツェゴビナ等)があると警告した。

WFPはアフガニスタンで山岳地帯の避難民に増援

 世界食糧計画(WFP)の国連アフガニスタン調整官事務所(カブール)は、山岳地帯の避難民に対し、冬が来て雪で完全に孤立する前に食糧援助を増加させることを決定した。
 アフガニスタンでは平野部(the Shomali Plains)でタリバン(the Taliban)と北部同盟軍(Northern Alliance troops)が内戦状態にあり、約65,000名が Panjshir渓谷地帯に避難している。今月中に少なくとも3000トンの食糧を援助する予定。

■事務総長は、企業の社会的責任について言及

 アナン事務総長は、国連本部で外交官や企業のCEOたちと会見し、企業が社会において存在感を示し、責任を果たしていくことで雇用を創出し、健康を増進させると指摘した。

今日の一言

 最近の中央アジアの情勢はかなり混沌としていて非常に分かりにくくなっています。

 アフガニスタンについては、新興イスラム勢力タリバンほぼ全土を掌握しており、わずかに北部地域をマスード派を中心とするイスラム協会が勢力を持っているという状況のようです。
 タリバンはもともとはデオバンディ派と呼ばれるイスラム教改革運動の教義を信奉する神学生が中心となってできた勢力であったとされていますが、今では様々な勢力から流入した人たちで、必ずしも「神学生の集団」とは言えない状況になっています。
 タリバンにしても反タリバンにしても、イスラム原理主義(=コーランを文字通り解釈し実行する立場)に分類されているのですが、アフガニスタンの周辺各国がその急進性を恐れ、反タリバン勢力に武力援助しているため、なかなか決着がつかない事態が継続しています。

11月3日(水曜日) 文責:山本

ICJの判事5名を選出

 総会と安全保障理事会は国際司法裁判所(ICJ)の判事5名を選出した。このうち4名(Gilbert Guillaume 氏、Rosalyn Higgins 氏、Gonzalo Parra-Auguren 氏、Raymond Ranjeva 氏、)は再選であり、残る1名(Awn Shawkat Al-Khasawneh 氏)は初選出である。任期は来年2月6日から9年間。
 ICJの判事は15名であり、継続性を重視して、3年ごとに判事の3分の1ずつ改選する。任期の途中で欠けた場合(死亡または辞任)に限り再選出し、残りの期間勤める。選出の際は総会と安全保障理事会の双方で絶対過半数を確保する必要がある。

UNCTAD X 100日前会合がバンコクで開催

 タイで開催予定の第10回国連貿易開発会議(UNCTAD X)100日前の記念会合がバンコクで行われ、アナン事務総長は、この UNCTAD X が開発途上国のグローバル経済への貢献を拡大し、その利益の共有の促進のための「黄金の機会」になるだろう、とのメッセージを送った。

コソボの少数民族は未だ不安定な状況に

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と欧州安保協力機構(OSCE)はコソボにおける少数民族の状況について報告書を提出し、依然として不安定な状況におかれていると警告した。
 このような状況が続くと、コソボに対する印象が悪化し、国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)が進める復興のための資金拠出に影響を与えると懸念されている。

北コーカサス地方に国連ミッションが到着

 チェチェン紛争で避難している難民の人道的ニーズを把握するために、国連は北部コーカサス地域に調査団を派遣した。調査団は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連開発計画(UNDP)、世界保健機関(WHO)、ユニセフ、世界食糧計画(WFP)、国連人道問題調整局から構成される。

シエラレオネで軍事監視員が拉致

 2日、シオラレオネで巡回中の国連軍事監視員が革命的統一戦線(RUF)の反政府軍兵士により数時間身柄を拘束されるという事件が起こった。

WHOはスイスでマラリア対策の財団を設立の予定

 世界保健機関(WHO)は抗マラリア剤の開発を行う非営利財団をスイスの国内法に基づき、官民の協力での設立する計画であることを発表した。この財団は"Medicines for Mararia Venture" (MMV) と呼ばれ、WHOの他に、世界銀行、国際薬品製造者協会、スイス開発協力庁、ロックフェラー財団などが出資。

国連高官がアフガン難民の状況を警告

 アフガニスタン人道調整官の Eric de Mul 氏は、平野部での戦闘のために渓谷部に逃れている数万の避難民(大半が女性と子供)に冬になる前に十分な援助物資が届かないと深刻な状況になると警告した。

イラク原油限定輸出プログラムでイラクに60億ドル分の原油を輸出

 今年6月から始まった現フェースのイラク原油限定輸出プログラム(oil-for-food)でイラクは3億3000万バーレル(60億ドル相当)の原油を輸出したと推定されている。一方で43,000トンの小麦、14,000トンの米、920トンの豆類、2,500トンの洗剤・石鹸などの物資もイラクに到着している。
 イラク原油限定輸出プログラム(oil-for-food)は、1996年に国連とイラクの間に交わされた合意であり、イラクが原油を輸出するかわりに、それと見合う額の人道的援助物資を輸入するというものである。

MINURSOの新司令官を任命

 アナン事務総長は国連西サハラ住民投票ミッション(MINURSO)の軍司令官としてベルギー陸軍の Claude Buze 准将を任命する旨を安全保障理事会に通知し、同理事会ではその決定を承認、結果を報告した。任期は11月1日付で開始。
 なお、国連西サハラ住民投票ミッション(MINURSO)は、1991年にアフリカ西岸の西サハラ地域における定住問題を解決するために設立された。同地域はモロッコの統治下の地域とサグィア・エル・ハムラリオ・デオロ解放人民戦線(the Popular Front for the Liberation of Saguia el-Hamra and Rio de Oro ; POLISARIO)の勢力下の地域を含み、独立かモロッコへ併合するかを住民投票で決定することに両勢力が同意している。

今日の一言

 自分が翻訳を担当した記事というのは、かなり前のものでも覚えているもので、立て続けにある地域の記事が出てくると、きちんと統計を取っていなくても、「あ、ここで何か大変なことが起こる」という予感を持ってしまうことがあります。
 その意味で気になっているのは、シオラレオネです。
 それほど大々的に扱われるわけでもないし、TVや新聞報道でもあまり扱われないのですが、このデイリーハイライトを見る限り、かなりコンスタントに記事になっています。
 最近の平和維持活動、それもアフリカの事態に対する合衆国の冷たさ(「国益」にそぐわない、ということか?)からすると、対策がきちんと取られるか、非常に心配です。

11月4日(木曜日) 文責:阿部

国連人権高等弁務官が各国に人権条約を批准を要請

 メアリー・ロビンソン国連人権高等弁務官(UNHCHR:UN High Commissioner for Human Rights)は、国連総会第3委員会(社会・人道・文化委員会)に年次報告書を提出するとともに、演説し、「人権を尊重する文化は社会に根付きつつあるが、目的を達成するためには、政治的意志(political will)が不可欠」として、各国に対し、国連の一連の人権条約を批准するよう要請。

国際原子力機関は危険防止措置協定の未締結国が多いことに懸念を表明

国際原子力機関(IAEA:the International Atomic Energy Agency)のMohamed Elaradei事務局長は、国連総会に年次報告書を提出し、多くの国々が、条約の下に求められている国際原子力機関との危険防止措置協定(safeguards agreements)を締結していないことに懸念を表明。
 また、同時に、危険防止システムは、核不拡散体制の単なる一つの側面に過ぎず、効果的な輸出管理等他の措置と相俟って核軍縮が推進されると指摘。

国連コミュニケーション部長は国際報道におけるバランスの重要性を指摘

 国連コミュニケーション部のShashi Tharoor部長は、バルセロナで開催されている報道年次世界会議(the annual News World Conference)で演説し、メディアのグローバル化により世界は小さくなったが、国際ニュースの取り上げ方には矛盾が多いと指摘。テレビ報道に関わる編集者や経営らに「なぜコソボの紛争がシエラレオネの紛争よりも大きく報道されるのか」と、反省を求めるとともに、東チモールの例など国際的なアジェンダはメディアによって設定されるため、報道機関が適切なバランスを図ることが重要であると指摘。

東ティモール避難民帰還の妨害を狙った銃乱射事件が発生

 西ティモール境界沿いの Atambuaで、東ティモール避難民帰還の妨害を狙ったとみられる民兵による2件の銃乱射事件が発生。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、インドネシア政府が民兵組織の活動を統制するために介入しない限り、情勢は更に悪化するだろうと懸念を表明。

世界保健機構が煙草産業の宣伝広告に対抗したキャンペーンを開始

 世界保健機構(WHO:World Health Organization)は、「騙されないで」("Tobacco Kills, Don't Be Dupted")との呼びかけの下、煙草産業の宣伝広告に対抗する新たな世界的キャンペーンを開始。このキャンペーンは、世界20ヶ国の保健衛生及びメディア活動家の協力を得て実施される。

国連難民高等弁務官事務所は、チェチェンからの流出避難民数の減少に懸念を表明

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、チェチェンから流出する避難民の数が昨日に比べて減少したことに懸念を表明。昨日は、ロシアが境界管理を大幅に緩和したことから、推計5千人が流出したが、木曜日には、その数が千3百人に減少。

国連児童基金は、東欧及び旧ソ連の子どもたちの生活水準低下を指摘

 国連児童基金(ユニセフUNICEF:UN Children's Fund)は、ベルリンの壁崩壊10周年を記念した報告書を出版。同報告書は、東欧及び旧ソ連の子どもたちの生活水準が、「経済収縮」、社会福祉ネットの劣化、武力紛争の蔓延によって低下したと指摘している。

旧ユーゴ国際刑事裁判所は、起訴されているNaletilicの移送勧告を断念

 旧ユーゴ国際刑事裁判所は、医療チームをクロアチアのザグレブに派遣し、人道に対する罪等で昨年起訴されたMladen Naletilic(通称"Tuta")の健康状態をチェック。その結果、Naletilicが裁判のためにハーグに行ける健康状態にはないと判断され、同裁判所は検察官に対し、同氏の移送を勧告できない旨通告。

「今日の一言」

 アメリカの国連分担金の滞納問題については、先週のこの欄(http://www.issue.net/sun/dh199910.html#28_hito)でもご紹介しましたが、今週も、ホワイトハウスと議会共和党との間で激しい応酬が続いています。

 共和党の Bartlett 下院議員は、ワシントン・タイムズへの寄稿の中で、「米国はこれまで、国連の平和維持活動などに何十億ドルもの資金を自主的に拠出してきたが、ハイチ、イラク、バルカン諸国及び東チモールにおける国連の活動から、米国はほとんど何も得ていない」と国連批判を展開しています。

 一方、今日の3番目のニュースで取り上げられている報道カンファレンスでは、国連担当官が、「世界のメディアは、国連の問題点ばかりを取り上げ、モザンビークやエル・サルバドルでの国連活動のような成功例についてほとんど報道しない」と、メディアの姿勢を批判しています。
 国連の活動を正しく評価することはとても難しいことですが、私たちは、国連の現実と理想をしっかり見据えた上で、あくまでも国連強化に向けて着実に活動を続けていきたいと考えています。
 なお、今日6日付け聖教新聞の7面文化欄に、このSUNに関する記事を掲載していただきました。これまでの活動の経緯等が紹介されていますので、一読していただければ幸いです。

11月5日(金曜日) 文責:Yoshi

総会第1委員会、ABM条約の維持・強化に関する草案を承認

 国連総会の第1委員会(軍縮・国際安全保障)は、ロシア連邦と米国が1972年に署名した「ABM(弾道弾迎撃ミサイル)制限条約」の維持と強化に関する草案を、賛成54、反対4(イスラエル、ラトビア、ミクロネシア、米国)、棄権73で承認した。
 これはベラルーシ、中国、ロシア連邦が起草したもので、ABM条約の維持・強化のため加盟各国による無条件の導入を呼びかけ、さらにABMシステムの導入制限や領土保全システムの導入禁止も唱えている。
 この草案の実施面についてフランスが提起した修正案では、大量破壊兵器の拡散と輸送手段に歯止めをかけるため全加盟国による支援を提唱しており、第1委員会はこれを、賛成22、反対1(米国)、棄権95で承認した。
 草案と修正案の両方に反対票を投じた米国代表は、もはや時代遅れとなった条約では真の安定をもたらさず、それは幻想にすぎないと述べ、米国はABM条約を反故にするような新技術など新たな脅威の台頭を無視できないとした。

WFP、インドのサイクロンの被災者へ援助

 世界食糧計画(WFP)は、インドを直撃したサイクロンの被災者へ送る米や麦を確保したが、多くの人びとは住居や調理道具を持ち合わせていないと明らかにした。WFPの推計によると、緊急の援助を必要としている被災者は30万人にものぼり、氾濫や浸水の被害を受けた人びとは5万カ村で少なくとも1000万人と見積もられている。
 WFPでは最も被害が深刻な地域で、高タンパクビスケットなど調理を必要としない食糧の配給を開始し、今後4週間の緊急活動に必要な20万ドルの資金を要請した。国連児童基金(ユニセフ)やWFPが開発諸機関を含む国連の災害援助チームを指揮しており、WFPではCARE、OXFAM、ACTION AIDなど非政府機関(NGO)と協力し、一方のユニセフは国外の援助提供者と調整を図っている。

「チェチェン-イングーシ境界線で緊張がやや緩和」とUNHCR

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、チェチェンとイングーシの境界線における緊張が“やや弱まった”と報告した。UNHCRの広報によると、ロシアが3日に境界線での規制を緩和し、この2日間で8000人以上の人びとが境界線を渡ったという。
 しかしながらこの状況が続くと、事態は改善に向かうものの、すでにチェチェンから20万人の避難民を受け入れているイングーシの負担が増大することになる。
 イングーシ当局によると、危機勃発から避難民の間で400件の出産があり、UNHCRでは冬用のテントや乳幼児用の食糧、衛生用品などの供給を増大する計画。

アフガンのポリオ撲滅キャンペーンで大きな成果

 国連諸機関は、アフガニスタンでのポリオ(小児麻痺)予防接種キャンペーンに多数の参加があったと報告した。「National Immunization Days」と呼ばれるこのキャンペーンでは、西暦2000年までにアフガニスタンでポリオを撲滅させることを狙いとしている。

ILO事務局長、グローバリゼーションの問題へ一般企業による対応を要請

 国際労働機関(ILO)のJuan Somavia事務局長は、一般企業の幹部が企業の責任を具体的に示し、グローバリゼーションから起こる問題に取り組むべきだと主張した。
 同氏は2日間にわたるILOの「Enterprize Forum」で企業のCEO(最高経営責任者)、政府関係者、労働組合の代表、経済学者など600名を前に、グローバリゼーションが繁栄と不平等をもたらし、共同社会の責任の限界が試されているとし、「グローバリゼーションのプロセスで深刻な逆行を回避するためには、一致団結した行動が不可欠である」と語った。

11月8日(月曜日) 文責:渡辺

国連人権エキスパート、東チモール人権侵害問題を調査

Asma Jahangir 司法権外の略式・恣意的執行に関する特別報告官 (Special Rapporteur for Extrajudicial, Summary and Arbitrary Executions)、Radhika Coomaraswamy 女性に対する暴力に関する特別報告官 (Special Rapporteur on Violence against Women)、ならびに、Nigel Rodney 拷問に関する特別報告官(Special Rapporteur on Torture) の3氏は、Dili で記者会見し、東チモールの人権問題の調査に入ったと発表。
 Rodley 特別報告官は、結論を下すにはまだ早いとしながらも、明らかに「何か大惨事と言えるもの」が東チモールに起こったとコメント、一方、Coomaraswamy 特別報告官は、強姦ほか、性的暴行などの報告を聞いているとして深刻な状況を伝えるとともに、西チモールでも、性的奴隷などの問題も報告されているが、西チモール立ち入り許可がまだ取れていないと状況説明。

■アナン事務総長、UNMOT 駐留6ヶ月延長を勧告

 アナン事務総長は、国連タジキスタン監視団(UNMOT: UN Observer Mission in Tajikistan)を2000年5月15日まで6ヶ月延長を勧告。

安保理メンバー、シエラレオネでの衝突を憂慮

 Danilo Turk 議長をはじめとする安保理メンバーは、先日のシエラレオネでの衝突に驚愕と憂慮の意を表明し ロメ 和平協定(the Lome Peace Agreement)の遵守を紛争当事者に要請。

コソボの予算6650万ドルを承認

 国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)代表の Bernard Kouchner 博士は、1999年度予算1億2,500万ドイツマルク (約6,650万ドル)を承認した。この予算の内の70%は、世界各国のドナーによって拠出される。
 また、コソボの財政全般を管轄する中央財政局 (仮訳:CFA=Central Fiscal Authority) も機能し始め、法的に歳入・歳出の管理を可能にする。
 この予算承認により、税関、消費税などによる地域収入とドナーの助成金を厚生、教育、警察消防などの大規模な公共事業に適用することが可能となる。
 なお、CFA代表の Alan Pearson 氏によるとこの予算は、UNMIK や国際団体職員等には適用されず、コソボ市民のためにのみ使用される。

Tom Koenigss氏、「東ティモールのためのコソボの教訓」を演説

 Tom Koenigss コソボ暫定文民行政のための副特別代表 ( UN Deputy Special Representative for Interm Civil Administration in Kosovo) は、ニューヨークのメディア対象に「東ティモールのためのコソボの教訓」をスピーチし、現地での軍、国連機関、NGO等の諸機関の調整作業が、国際的な再建活動の成功を決定づける最重要事項であると述べた。

インドのサイクロン被害者救援作業いまだに難航

 人道問題調整事務所(OCHA)の報告によると、インドの東海岸 Orissa 州では、州内人口の3分の1にあたる1100万人がサイクロンの被害を受け、救援作業が必要であるが、インフラの多大な損害により、食糧輸送・配給作業は非常に困難か不可能な状態がいまだ続いているとしている。
 8万の水源のうち50%弱が使用不可能であり、多くの地域が安全な飲料水を確保出来ておらず、胃腸炎、マラリア、急性呼吸器感染症が蔓延する可能性が高い。

Moustapha Niasse 事務総長特使、コンゴを訪問

 Moustapha Niasse 事務総長特使は、コンゴ民主共和国に到着、3日間に渡る和平プロセス交渉に入る。

国連総会、旧ユーゴ・ルワンダ両国際刑事裁判所の報告書を審議

 旧ユーゴ・ルワンダ国際刑事裁判所の Gabriel Kirk McDonald 所長、Navanethem Pillary 所長は、国連総会に年次報告書を提出。
 任期を終える旧ユーゴ法廷の McDonald 判事は、ユーゴスラビア連邦共和国、クロアチア共和国、セルビア人共和国 (Republika Srpska) は、指示に従わず同法廷の重要な活動を妨げていると述べ、国際社会が圧力をかけ、命令を遵守させるよう求めた。
 国際刑事法廷は、強制力・警察機構など各国を命令に服させる力がないため、国際社会に服従させるような機能を期待せざるを得ない。

■UNAIDS、ラテン各国の政治的コミットメントを要求

 国連エイズ計画 (UNAIDS)の Olavi Elo 国別計画プログラム開発部長は、ラテンアメリカ・カリブ地域でとどまることを知らないHIV感染を抑えるためには、強い政治的コミットメントが必要であると述べた。

11月9日(火曜日) 文責:山本

■国連総会は合衆国のキューバ禁輸制裁撤回を要求

 国連総会は、39年にわたる、合衆国のキューバに対する禁輸制裁措置の撤回を求める決議を、賛成155、反対2(合衆国・イスラエル)、棄権8(エストニア・グルジア・ラトビア・ミクロネシア連邦・モロッコ・ニカラグア・セネガル・ウズベキスタン)で採択した。
 決議では、交易と航行の自由は国連憲章及び国際法で定められていることを確認している。

■国連基金が子供の健康のプロジェクトに5100万ドルの寄付

 Ted Turnerの寄付により設立された国連財団(UNF;The United Nations Foundation)は本日、国連の支援策として、子供の健康に関するプロジェクトに対し、5,100万ドルの追加投資を行うと発表した。

UNHCRは西チモールでの民兵の妨害に抗議

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、西チモールで活動するUNHCRスタッフや援助活動者、難民に対する民兵の妨害活動に関し、強い懸念を表明した。
 Atanbua では、投石や銃の発射など少なくとも18件の事件が報告されている。

WFPは東チモール帰還民への食糧援助を強化

 世界食糧計画(WFP)は、東チモールへの帰還民への食糧援助を、雨期が訪れるまえに輸送するため活動を強化した。

東チモールのミッションの副特別代表に日本人が任命

 アナン事務総長は、東チモール暫定行政機構(UNTEAT)の人道援助及び緊急復興担当事務総長副特別代表として高橋昭氏(日本)任命した。
 高橋氏は国際協力事業団(JICA)に35年間在籍し、開発途上国における開発援助活動に従事してきた。

チェチェンは依然憂慮される状態のまま

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、ロシアの軍事行動によってチェチェン住民が置かれている状況に対し、深刻な憂慮を示した。
 先週水曜から2万人近くがチェチェンからイングーシュティアに流出しており、これまでに19万人が流出したとUNHCRでは推定している。

ルワンダ国際刑事裁判所は、ルワンダ政府の非協力決定に遺憾の意を表明

 ルワンダ国際刑事裁判所は、ルワンダ政府が、同裁判所への協力中止を表明したことに対し、遺憾の意を表明した。ルワンダ政府が協力を中止したのは、容疑者の釈放を裁判所が発表したからであるが、裁判にかけられるまでに不当に拘束されていたと判断されたため。

ブルンジ難民がタンザニアに流出

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報告によれば、ブルンジ南部で暴力や強制追放のため、1日に400名の割でタンザニアに難民が流出している模様。各地の難民キャンプへの収容が報告されている。

朝鮮民主主義人民共和国の食糧事情は依然として悪いまま

 国連食糧農業機関(FAO)と世界食糧計画(WFP)は合同で朝鮮民主主義人民共和国の食糧事情に関する報告書を提出し、同国では飢饉が広がっており、国家による努力や国際的な支援にもかかわらず、国民の栄養状態は一向に改善していない模様。

◆今日の一言

 10年前に「ベルリンの壁」が崩壊したわけですが、私はそのころ大学生で、1989年と言う年を、かなりの興味をもってすごしていました。その当日は、「この日は歴史に残る、絶対、覚えとけ!」と友人や後輩に説いて回った(!)記憶があります。
 ベルリンでは当時の役者(ゴルバチョフ・ブッシュ・コール等)が招待されてセレモニーが開催されたそうです。みなさんお年を召されましたね。それから、当時に買った本を読み返すと、WTOが「ワルシャワ条約機構」の略語として書かれていて、隔世の感を持ってしまいました。今では、「世界貿易機関」の略語としての方がとおりがよいように思います。
 その時期に書いたものも読み返してみますと、「10年前では世界がこうなるとは想像だにできなかった。」とあります。そんなことを書いてから10年。その思いはさらに強くなっています。

11月10日(水曜日) 文責:山本

旧ユーゴスラビア・ルワンダ国際刑事裁判所検察官が安保理でブリーフィング

 国連旧ユーゴスラビア・ルワンダ国際刑事裁判所の新検察官の Carla Del Ponte 氏は安全保障理事会でブリーフィングを行い、コソボで2,000体以上の死体を発見し、この数字は、埋葬地を掘り起こしたと見られる痕跡があるため、必ずしも正確ではないと報告した。
 この報告は、5ヶ月間にわたり14カ国から専門家がコソボに入って調査していた結果であり、529の埋葬地に11,334体の死体が確認されている。

■総会はベツレヘム2000プロジェクト支援を歓迎

 国連総会はイエス=キリスト生誕2000年と第3千年紀の到来を祝福する「ベツレヘム2000」プロジェクトの支援を無投票で歓迎した。

■事務総長は日本を公式訪問

 アナン事務総長は10日成田空港に到着、日本への公式訪問が始まった。日本では政府首脳と日本の国連における貢献と働きについて討議する予定。

コンゴ共和国の人道的状況が危機に直面

 コンゴ共和国では80万人以上の避難民及び帰還民が人道的に危機的な状況にあると国連駐在調整官の Bill Paton 氏が報告した。このうち10万人が湾岸の街 ポアント・ノワールに、さらに数十万人が首都ブラザビルに滞在している。

シエラレオネにおける暴動が沈静化

 シエラレオネの Lungi 軍縮・武装解除キャンプで1,600人による暴動が発生したが、国連軍事監視員によるパトロールで沈静化した。

■スーダンのヌバ山脈地帯での食糧事情が悪化の予想

 スーダンのヌバ山脈地帯に国連派遣団が入り、スーダン政府やスーダン人民解放運動・軍(SPLM/A)の勢力圏で食糧事情が悪化しており、来年5月から9月ごろに危機的な状況になると警告した。

■UNIKOM司令官が交代

 アナン事務総長は、国連イラク=クウェート監視団(UNIKOM)の Esa Tarvainen 司令官の任期が切れることを受け、後任にアイルランドの John Visa 少将を任命した。着任は今年12月1日。

コソボ暫定協議会はユーゴスラビアに行方不明者の情報提供を要請

 コソボ暫定協議会(KTC)は行方不明者に関する情報提供を要請した。同時に高名な人道活動家 Flora Brovina 氏を含む、政治犯として拘束されている人々の解放を要請した。

コソボ難民への食糧供給が遅延

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、旧ユーゴスラビア・マケドニア共和国国境付近の難民への食糧供給が遅延していると警告した。これは、マケドニア政府が難民のための輸送車であっても一般のトラックと同様に並んで走ることを要求しているため。

◆今日の一言

 国連総会の第一委員会(軍縮)は、日本が提出していた、「究極的な核廃絶に向けた核軍縮決議」を9日に採択しました。(賛成128、反対0、棄権12) これはこれですごいことのように見えるのですが、毎年この手の決議が採択されており、核軍縮運動において画期的なものというわけではありません。
 総会決議の法的効力のなさや、実行可能な廃絶への手続きまで踏み込めていないなどの問題がまだまだ解決されていないというのが、悲しいですが事実です。また、こういうニュースが日本であまり報道されないというのも、厳しい現実です。

11月11日(木曜日) 文責:阿部

■アナン事務総長が天皇・皇后両陛下、小渕首相らと会談し、国連大学で講演

 アナン事務総長は、訪日2日目、日本の国会議員らと会談し、安保理改革の進展が遅いことに遺憾の意を表明するとともに、日本が常任理事国となることの有用性について広範な支持がみられると指摘。小渕首相との会談においては、東ティモール、国連要員の安全、国連改革、ミレニアム・サミットについて話し合い、小渕首相は、東ティモールにおける国連活動に対する強力な支援を約束。また、天皇・皇后両陛下と会談し、天皇陛下の即位10周年に対して祝意を表明するとともに、国連大学で「21世紀における日本の世界的役割」と題しての講演。

安保理議長がエチオピア・エリトリア紛争に伴う人道状況悪化に懸念を表明

 安保理議長である Danilo Turkスロベニア大使は、エチオピア及びエリトリアに対して、両国間の紛争における最大限の自制を促すとともに、人道状況の悪化に対して懸念を表明。

国連東ティモール人道調整官がインドネシア国軍大将と会談

 Ross Mountain 国連東ティモール人道調整官は、ジャカルタでインドネシア国軍のAdmiral Widodo大将と会談。同大将は、民兵たちが難民帰還を阻害することがないよう措置を講じると言明。インドネシア政府によれば、領界の西側には帰還を待ちわびる人々が4万4千人いるが、明日にも6千人が、残りも数日内に帰還出来るだろうと指摘。

国連視察チームがコンゴ民主共和国において活動を開始

 16名で構成される国連視察チームがコンゴ民主共和国において活動を開始。これまでに国連安保理は、同国に軍事連絡要員90名を展開することを決定しているが、未だ実現していない。今回の視察チームは、今後の要員展開に道を開くべく、同国の情勢を調査するために派遣されたもの。

■国連総会が、子どもの権利条約採択10周年記念式典を開催

 国連総会が、子どもの権利条約(the Convention on the Rights of the Child)の採択10周年記念式典を開催。89年11月20日に採択された同条約は、これまでに191ヶ国により批准され、国連史上最も多くの国により批准された条約となっており、50ヶ国以上が、子どもの権利の観点から国内法を修正した。
 総会議長であるTheo-Ben Gurirabナミビア大使は、開会の挨拶で、これまでの成果を賞賛する一方、「世界中で数百万の子どもたちが、防止可能な病気、薬物犯罪、性的虐待の犠牲になり、兵士として戦争にも利用されている」と指摘。スピーチに立った Louise Frechette 国連副事務総長は、「新しい世紀を迎える前に、世界中すべての国々が条約を批准すべきだが、米国がたった2ヶ国となった未批准国のひとつであることを懸念している」と表明。

アフガニスタンの3都市で国連制裁決議への抗議行動

 対タリバン制裁が日曜日に採択されることが予想されるなか、アフガニスタンの少なくとも3都市において、この制裁に抗議し、国連事務所を対象にした抗議行動が行われたが、負傷者がでたとの報告なし。

■国連エイズ合同計画事務局長がカリブ地域のエイズ禍の抑制を要請

 国連エイズ合同計画(UNAIDS:the Joint United Nations Programme on HIV/AIDS)の Peter Piot 事務局長は、ドミニカ共和国の第10回国家健康フォーラムにおいて、カリブ地域におけるエイズ禍の広がりを抑えるため、政治的なコミットメントと時機を得た対応を要請。

■国連貿易開発会議マニラにおいてワークショップを開催

 国連貿易開発会議(UNCTAD)が、マニラにおいて、技術移転、生物多様性などを含めた貿易と開発問題に関するワークショップを3日間にわたり開催。アフリカ、アジア、ラテンアメリカから10ヶ国の開発途上国が参加。

■イラクにおける人権状況に関する特別報告者が辞任

 国連の報道官は、イラクにおける人権状況に関する特別報告者 Max van der Stoel が11月5日付で辞任したと発表。人権委員会事務局は、17日にも後任問題について協議する予定。

◆「今日の一言」

 5つ目の記事で、「子どもの権利条約」を未だ批准していないのは2ヶ国(米国とソマリア)のみとありますが、現実の子どもを取り巻く状況は、なかなか改善しません。
 ニューヨークを拠点に活動しているNGO「Human Rights Watch」は、「米国がこの条約の批准に失敗しているのは許し難いこと」であり、「米国への信頼を著しく損ねている」と米国を非難するとともに、多くの批准国でも「約束が破られている」と指摘し、

1)30万人の子どもたちが各地の紛争の前線で戦闘に投入されている
2)世界の難民の半数は子どもである
3)2億5千万人の子どもたち(5歳から14歳)が労働に従事している
4)1億3千万人の子どもたちが全く教育をうけられないでいる

と数字を挙げて、子どもを取り巻く厳しい現実を指摘しています。

 なお、最初の記事にあるように、アナン事務総長が来日され、小渕総理や宮澤蔵相らと会談するとともに、国連大学や日本記者クラブで講演されました。
 滞在中の様子(写真)は、

http://www.un.org/av/photo/news.htm

で、国連大学での講演の内容は、

http://www.unu.edu/hq/japanese/news/annan-11-1999.html

で見ることが出来ます。

11月12日(金曜日) 文責:Yoshi

■新ユネスコ事務局長に日本の松浦晃一郎氏

 日本の外交官である松浦晃一郎氏が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)執行委員会の推薦を受け、賛成146、棄権9、無効6により、スペインのフェデリコ・メイヤー氏の後任として第9代ユネスコ事務局長に6年間の任期で就任することが決定した。正式な就任は11月15日の予定。

 同氏は1937年の東京生まれ。東京大学法学部とハーバードカレッジ(米国ペンシルバニア州)経済学部に学び、1959年に日本の外務省へ入省。以後、北米局長、外務審議官(経済)などを歴任し、1994年より駐仏大使を務めた。また、今年11月までの1年任期でユネスコの世界遺産委員会の議長も務めてきた。

■「異なる社会との共存と調和が難民問題の中心課題」と緒方高等弁務官

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の緒方貞子 高等弁務官は、国連総会の第3委員会(社会・人道・文化問題)への年次報告で、今日の難民問題をめぐる議論で異なる社会との共存と調和が重要な中心的課題であると語った。

 同氏はまた、少数民族など個々の社会的グループの意思や権利を尊重できないことが、コソボ、東チモール、シエラレオネ、アフリカ大湖地域といった場所での事例から、明らかに紛争や排他の原因になりうると主張した。

■事務総長、国連での日本の貢献を歓迎

 日本公式訪問中のコフィ・アナン事務総長は東京での記者会見で、日本が国連システムの至る所で目覚ましい役割を果たしていると述べ、さらに平和維持活動(PKO)への日本による人的貢献に歓迎の意を表明した。

 また事務総長は、自衛目的以外の軍事行動を禁止している日本国憲法の改正の可能性について質問を受け、現在のPKOは非常に多岐にわたり、もはや兵士や警察官に限ったものではないとし、「文民の行政官やエンジニア、教員など様々な人材を必要としている。私たちのニーズは非常に幅広く、日本の人たちが私たちと協力できるものと確信している」と語った。

 会見に先立ち、事務総長は日本の国会議員らと会見し、宮沢喜一氏 駐仏大使とは国際問題や特定地域の問題などについて種々意見を交換した。東チモール問題について事務総長は、「(東チモールにおける)国連の活動に日本政府から支持と支援が得られたことを非常に歓迎している」、「(日本からは)すでに多国籍軍の派遣計画に対し1億ドルという多額の支援を得ている」、「私たちは現在、東チモールの再建と独立の準備段階へと進まねばならず、引き続き日本からの支援と協力に期待している」と語った。

 さらに事務総長によると、軍縮問題、国連と安保理の改革、来たる世界貿易機関(WTO)のシアトルラウンドも含めた世界経済や地域経済の問題についても話し合ったという。

今日の一言

 今回は日本に関係ある記事が3つもありましたので、できるだけ省略せずに取り上げました。このような形で日本人の活躍がクローズアップされるのも嬉しい限りですね。アナン事務総長の訪日に関しては、国際連合広報センターのホームページ(http://www.unic.or.jp/recent/sg.htm)に詳しく出ています。

11月15日(月曜日) 文責:渡辺

■アナン事務総長、ボスニアでの民族浄化の悲劇の原因と教訓を報告

 アナン事務総長は、1995年7月のボスニア国連指定安全地域であった Srebrenicaでの大量殺戮について報告、非公式に公開された。
 当時の国連の決定事項と行動を見直し、状況判断を間違え立ち向かうべき悪の規模の大きさ把握しかねたことにより、Srebrenica の人々をセルビア人の攻撃から守ることが出来なかったと記されている。
 この事件はヨーロッパにおいては第二次世界大戦後以来最大級の殺戮であり、事務総長は、Srebrenicaでの悲劇は、我々の歴史から永久に消えないであろう述べた。

■アナン事務総長、米・中の貿易合意を歓迎

 アナン事務総長は、米国と中国間の貿易協定合意に関し、これで世界貿易機関への中国加盟に道が開けたとしこれを歓迎。
 中国を訪問中の事務総長は、北京で記者会見し、中国は、国際貿易に参画しその役割を果たすべきで、彼等の努力が結実するための大きな一歩となった述べた。

■総会議長、砂漠化防止条約の重要性を強調

 Theo-Ben Gurirab 総会議長は、ブラジルの Recife で開催中の国連砂漠化防止条約(UNCCD)・第3回締約国会議で演説し、同条約が効率的な環境保護と継続可能な開発を達成させると発言。

■緒方難民高等弁務官、ロシア訪問決定

 アナン事務総長は、日本滞在中の13日土曜、プーチンロシア首相と長時間に渡る電話会談をし、国連が北カフカスの避難民保護と同地の人々の人道援助の役割を担っていると強調。事務総長とプーチン首相は、建設的な対話を終え協力を約束、緒方難民高等弁務官は16日にロシアへ出発が決定した。

■総会、トルコでの地震被害者に哀悼の意を表明し、国際社会の支援を要請

 国連総会は、再度の地震で災害を受けたトルコ政府と市民に対し追悼の意を表明すると共に、同国のいかなる支援要請に対しても国際社会が迅速かつ寛大に対応することを希望した。

■アナン事務総長、イラク原油限定輸出プログラムの有効性を報告

 アナン事務総長は、10月31日までの過去6ヶ月間渡るイラク原油限定輸出プログラム(oil-for-food program)に関連した人道支援物の資配給状況を報告。
 事務総長は、同プログラムが引き続き良い結果をもたらしていると述べ、イラク政府に基本的な一般・予防医療サービスの提供改善を求めると共に、現在のレベルを維持または更に向上させるためには、コントラクターとの契約プロセス、供給品の分配・配送などの改善が肝要と結論している。

■国連機墜落、原因究明へ調査開始

 先週12日にコソボで国連機が墜落した事件の原因究明のため、墜落機が登録されていたフランスから調査団がプリシュティナに到着。イタリアの調査団もこの後参加の予定。
 遺体は、ローマへ空輸され、イタリア政府の調整で同国首相、WFP事務局長、遺族等が出席し、空港で葬儀をとりおこなう予定。 

アナン事務総長、アフガン国連事務所襲撃を非難

 アナン事務総長は、14・15日に発生したアフガニスタンの国連事務所襲撃事件を非難、タリバンは国連職員の安全を確保する義務があると述べた。

キプロス問題へ近距離交渉開始へ

 アナン事務総長は13日(土)にキプロスに関し声明を発表し、Clerides 氏 Denktashe 氏との交渉の結果、12月3日からニューヨーク近距離交渉開始することに合意した事、また今回は実質的交渉となるはずとの期待を述べた。

■松浦晃一郎ユネスコ新事務局長、ユネスコのビジョンを語る

 ユネスコの第九代事務局長に松浦晃一郎氏が就任。ユネスコ総会で演説しユネスコは、同機関本来の任務に焦点を絞り、しっかりとした運営管理のもと再びユニバーサルな組織と成長すべき必要性を訴えた。

「今日の一言」

 本日分のニューヨークタイムズの一面には、浜松の宝石店を相手取り裁判を起こし、勝訴したブラジル女性の記事が掲載されています。
 この店の窓ガラスには、張り紙で「外人お断り」。店員は、この張り紙を無視して中に入っていた彼女見つけ追い返したのが今回の訴訟の始まりのようです。原告は、「安保理常任理事になろうとする国の現状がこれではショッキングとしかいいようがない」と感想を述べています。
 日本には、外国人に適用するこの種の法律が無いため、人種差別撤廃条約(International Convention on the Elimination of All Forms of Racial Discrimination) をもとに裁判官が判決を下しています。この差別撤廃条約は、1966年(昭和41年)に発効し、日本では30年後の1996年1月に146番目の締約国となりました。今年の3月の時点で150カ国が署名しているので、日本は、まさに後進国の感があります。

 先日、国連の保育園の子ども達、黒人、アジア人、スペイン系に白人の子などなど、小さな手をつないで、笑いながら、はしゃぎながら歩いているのを見かけました。そこには、人種差別などという大人に押し付けられた概念は微塵もなく、本来あるべき美しい友情の輪がありました。
 子ども達にとっては、生命の平等性は、ごく普通のこと。日本に、そして世界に、多様性の友情の花が咲き誇ること祈ってやみません。

11月16日(火曜日) 文責:山本

■事務総長は中国首脳と会談

 中華人民共和国を公式訪問中のアナン事務総長は、江国家主席・唐外交部長らと会談し、政治・経済・人権など幅広い問題について討議した。

安保理はアフガニスタンでの攻撃を非難

 安全保障理事会は議長声明を通して、アフガニスタンでの国連要員や施設に対する攻撃に対し非難を表明した。
 アフガニスタンでは、タリバンが指導者のラディン氏の身柄を引き渡さない限り経済制裁を解除しないという10月15日の決議に抗議して、群集が国連の施設を襲うなどの被害が出ていた。

■国連人口基金は自宅用分娩キットを配布

 国連人口基金(UNFPA)は、現在、東チモールにの母親に対してほとんど援助が行われていない分娩に関するケアのため、家庭で使用できる分娩キットを緊急に配布することを発表した。
 東チモールでは出産の85%が自宅で行われ、そのうち60%は訓練を受けた保健員の介添えもないままに行われていると推定されている。そのため、不衛生などのために妊婦の出産後の死亡率が世界でも最も高い部類に入っている。

■各国の女性の司法担当閣僚が会合

 女性の司法担当閣僚が15カ国以上からニューヨークの国連本部に集まり、様々な問題について討議した。

■事務総長は「国際寛容デー」に関してメッセージ

 アナン事務総長は国際寛容デー(International Day of Tolerance)にちなんだメッセージの中で「人類の大部分が互いに異なった文化と人種から成っているのだから、私たちにとっての紐帯を模索しなければ、ばらばらになってしまうだろう」と強調した。

ブルンジからの難民は一向に減少せず

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報告によると、ブルンジ国内の治安状況は日ごとに悪くなり、タンザニアに逃れてくるブルンジ難民は絶えない模様。これまでにもタンザニアは27万5000人のブルンジ難民を受け入れているが、今でも1日に500人程度の流入が続いている。

旧ユーゴ裁判所長にフランス人の判事が就任

 国連旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所(ICTY)所長にフランス人判事の Claude Jorda 氏が選ばれた。副所長としてザンビアの Florence Mumba 氏が就任、任期はともに2年である。

■Brian Jones氏、UNFPA親善大使に

 今年、世界初の気球による世界一周を成し遂げた Brian Jones 氏(スイス)が国連人口基金(UNFPA)の親善大使に就任した。

■トルコの被災地に防寒用物資を援助を

 国連人道問題調整部(OCHA)は、先週トルコで発生した地震による被災者に対し、防寒用の寝具を援助することが最優先課題であると発言。

コソボ住民の住民登録作業を年内に開始

 コソボ暫定統治機構(UNMIK)は声明を発表し、今年中にコソボの住民登録と身分証明書の発行の作業を開始すると宣言。登録のためのセンターはプリシュティナを始め90箇所と移動登録センターを30準備する。

■UNFILの新司令官任命

 アナン事務総長は国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の新司令官に、これまで国連アンゴラ監視ミッション(MONUA)の司令官をしていた Seth Kofi Obeng 氏を指名。

◆「今日の一言」

 2番目の記事にある「10月15日の決議」とは安保理決議第1267号で、ラディン氏を引き渡さなければ(11月14日が期限)経済制裁に入ると決定されていたことを受けています。当然ながら引き渡さなかったために制裁に入り、その抗議行動としての暴動というわけです。

11月17日(水曜日) 文責:山本

■イラクの人権的状況は改善

 イラクプログラム事務局長 Benon Sevan 氏は安全保障理事会で、この日曜に第6期の期限を迎えたイラク石油限定輸出プログラム(oil-for-food programme)に関してブリーフィングを行い、3年間にわたるプログラムでイラクの人道的状況が著しく改善したと報告した。
 このプログラムは1996年に開始し、イラクに人道的援助に見合う額の石油の輸出を行うもので、最近の180日間で72億ドル相当になっている。この額は安保理決議で定められた額に13億ドル不足している。

■「国連国際法の10年」が終了

 国連総会では「国連国際法の10年(the United Nations Decade of International Law)」の最後を飾る会合を開催し、アナン事務総長は「国際刑事裁判所規程の採択がこの10年のうちで最大の成果であった」とメッセージを送った。

コソボにおけるWFP機墜落の犠牲者追悼式典が開催

 先週の金曜日にコソボで発生した、WFP(世界食糧計画)機の墜落事故で亡くなった24人の犠牲者への追悼式典がローマとニューヨークで開催された。

■アナン事務総長の各国訪問は続く

 中国を訪問していたアナン事務総長は、中国国連協会主催のセミナーに参加し、「21世紀の国連」というテーマで講演した。この中で、国連として、2001年を「国連文明間の対話年(United Nations Year of Dialogue among Civilizations)」としており、相互理解を進めていくと語った。
 中国を後にした事務総長は欧州安全保障会議(OSCE)出席のためイスタンブール(トルコ)に向かった。

■緒方国連難民高等弁務官がロシア首脳とカフカス問題について会談

 緒方国連難民高等弁務官は事務総長特使としてロシア入りし、北カフカス地方の人道的状態についてイワノフ外相と会談した。プーチン首相とも会談の予定。また、弁務官は19万5千人のチェチェン避難民がいるというイングーシュティアに木曜に入る予定。

第2回コソボ救援資金拠出国会議開催

 コソボを救援するための資金拠出国による2回目の会議が開催され、約10億ドルの拠出をすることを誓約した。47カ国、34機関が参加。

コソボに銀行制度復活へ

 国連故コソボ暫定統治機構(UNMIK)は、中央銀行の役割を果たすコソボ銀行局(仮約;BPK)を発足させる規約を発表。

東チモール事務総長特別代表が現地の独立派指導者たちと会談

 東チモール暫定統治機構(UNTEAT)である Sergio Vieira de Mello 東チモール事務総長特別代表は独立派の指導者や多国籍軍(INTERFET)司令官等と会談、東チモールの将来について討議した。

■WFPが900万ドル規模の援助をコロンビアで展開

 世界食糧計画(WFP)はコロンビア国内での武力紛争で発生した20万人以上の避難民に2年間・900万ドル規模の援助を行う計画を発表した。WFPによれば、コロンビアはラテンアメリカで最大の避難民を出しており、15年間で150万人が避難している。

UNAMSILは反政府勢力の武装解除に更なる努力を継続

 国連シエラレオネミッション(仮訳;UNAMSIL)は、反政府勢力の元指導者に対し、彼らの指揮下にあった者たちの武装解除を呼びかけるように働きかける努力を継続している。数千人の元反政府勢力兵士が Okra 丘陵地帯に潜んでおり、8月に国連要員を含む35人が身柄を拘束されている。

■1999年度UNEP笹川環境賞は Mario J. Molina 教授に

 1999年度のUNEP笹川環境賞は、オゾンホールの研究家でノーベル化学賞受賞者の Mario J. Molina 教授(マサチューセッツ工科大)に授与された。
 UNEP笹川環境賞(the UNEP Sasakawa Environment Prize)は日本財団の寄付により1984年に創設され、地球環境の分野において顕著な業績をあげた個人に授与される。

◆「今日の一言」

 4つ目の記事ですが、時折「今年は『国際○○年』です」ということを耳にすることがあるかと思いますが、それはおそらく国連総会が決めた、その年の中心課題であると言えます。ちなみに2001年は「人種主義、人種差別、排外主義、不寛容に反対する動員の国際年(International Year of Mobilization against Racism, Racial Discrimination, Xenophobia and Related Intolerance)でもあります。

11月18日(木曜日) 文責:阿部

■アナン事務総長が欧州安保協力機構サミットで演説

 アナン事務総長は、イスタンブールで開催されたの欧州安保協力機構(OSCE:the Organization for Security and Cooperation in Europe)首脳会議で演説し、「ここ数年にわたってコソボ等の紛争を予防できなかったことは、悲しく恥ずべきこと」と述べた上で、紛争を効果的に予防するため、国際社会が政治的意志を動員する必要があると指摘。
 子どもと武力紛争のための事務総長特別代表(the UN Special Representative for Children and Armed Conflict)であるOlara Otunnuは、同首脳会議が武力紛争の影響を受ける子どもの保護をめざしたコミットメントを約束する強力な声明を採択するよう要請。

■第4回世界テレビフォーラムがニューヨークで開幕

 第4回世界テレビフォーラム(the Fourth World Television Forum)が2日間にわたってニューヨークで開催され、90ヶ国から800名が参加、平和と開発におけるテレビの役割について討議した。開会に当たっては、アナン事務総長は、衛生中継を通じて「テレビが関心を向ければ、遠い国々の危機的状態にある人々がより多くの支援を受けることができるようになる」等と指摘。

緒方国連難民高等弁務官がチェチェンを視察

 緒方難民高等弁務官(UNHCR:UN High Commissioner for Refugees)は、Ingushetia及びチェチェンのロシア管理下にある地域を視察訪問し、最近の紛争により避難民となった人々への支援強化の方法を調査。

西チモールで民兵が難民襲撃

 西ティモールの Atambua において、民兵が東ティモールへ帰還しようとする難民を襲い、難民2人が負傷。国連難民高等弁務官事務所によれば、事件現場周辺には数十人の警官がいたが、制止しようともしなかったとのこと。

■UNHCRの年次拠出誓約会議で約2億ドルの拠出誓約

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の年次拠出誓約会議(annual pledging conference)において、同事務所の来年の活動費として1億95百万ドルの拠出誓約がなされた。

■国連総会が平和大学の利用拡大を求める決議を採択

 国連総会は決議を採択し、事務総長がその紛争解決および平和建設活動において、平和大学(the University for Peace)の利用を拡大するよう勧告。同大学は、理解・寛容・平和的共存の促進を目的として、国連総会の決議に基づいて80年12月に設置された平和のための高等教育機関。本部はコスタリカ。

第2回コソボ拠出誓約会議で10億ドル以上の拠出誓約

 第2回コソボ拠出誓約会議がブリュッセルで開催され、当初の予想を上回る10億ドル以上の拠出誓約がなされた。

アフガニスタンで世界食糧計画職員を武装集団が襲撃

 アフガニスタンのSaighan において、約200トンの食糧物資を輸送中の世界食糧計画(WFP:the United Nations World Food Programme)職員4人が武装集団に襲撃されたが、特に大きなけがはなかった模様。

国連は来週、シエラレオネにおいて平和維持軍の展開を開始

 国連は来週、シエラレオネにおいて6千人規模の平和維持軍の展開を開始する。これは、本年10月22日に安保理が、国連シエラレオネ・ミッション(UNAMSIL:the UN Mission in Sierra Leone)に同国政府の軍縮・武装解除・社会復帰計画 実施を支援し、7月の停戦合意遵守を監視する任務を与えたことを受けたもの。

アナン事務総長はコンゴ民主共和国・事務総長特別代表を任命

 アナン事務総長は、Kamel Morjane チュニジア在ジュネーブ国連大使をコンゴ民主共和国・事務総長特別代表に任命。

■世界保健機構主催の国際会議が「神戸宣言」を採択

 神戸で4日間にわたり開催された世界保健機構(WHO:the World Health Organization)主催の国際会議が、「神戸宣言」("Kobe Declaration")を採択し、ジェンダーに関する懸念や考え方が「煙草統制枠組み条約」(FCTC:the Framework Convention on Tobacco Control)の個別かつ全ての側面に盛り込まれるよう要求。
 2003年5月の採択を目指す同条約が採択されれば、煙草製品の世界的拡散を防ぐための初めての法的拘束力をもつ条約となる。

■「チェルノブイリ国際協力に関する四者間調整委員会」がニューヨークで開催

 「チェルノブイリ国際協力に関する四者間調整委員会」(the Quadripartite Coordination Committee on International Cooperation on Chernobyl)の閣僚級会合がニューヨークで開催され、チェルノブイリ事故の犠牲者を援助するための支援を要請。国連の人道問題調整部(OCHA:the Office for the Coordination of Humanitarian Affairs (OCHA)によれば、これまでに集められた金額は、必要額950万ドルの「ほんのわずか」"only a fraction"のみ。

「今日の一言」 − 米国の国連分担金滞納問題(最終回) −

 配信が遅くなり申し訳ありません。私が担当している「木曜日の出来事」は最速で金曜日の夜半には配信できるのですが、仕事等との関係で遅れてしまうことがあります。どうか御了承ください。(いつも、速報性と翻訳等の質とのトレードオフに悩まされています。。。)

 さて、今日の配信ニュースは多岐にわたっていて、、本欄でご紹介すべきことが山積みです。欧州安保協力機構サミットに係る地域安保と主権の問題、平和とメディアの役割、緒方UNHCRの活躍、国連機関への拠出誓約の仕組み、平和大学の活動、煙草論争、そして、他人事ではなくなったチェルノブイリ。。。
 ただ、今日は「米国の国連分担金滞納問題」を締めくくりたいと思います。これまで数回にわたってこの問題を取り上げましたが、長らく論争を繰り広げてきたホワイトハウスと議会共和党が、終に予算案について妥協し、滞納金16億ドルのうち約10億ドルが支払われることとなりました。両者を妥協に向かわせた大きな原動力は、このまま年末まで滞納を続ければ、国連憲章の規定に基づき、米国は国連総会での投票権を失うということだったようです。
 この決着は、国連をサポートする側の大勝利であるように見えますが、事態はそう簡単なものではなさそうです。そもそも今回の妥協案は、国連批判の急先鋒である共和党のヘルムズ(Jesse Helms)上院外交委員長が後押しした97年の法案をもとにしており、10億ドルの遅延金支払いには次のような条件がつけられているのです。

  1. 中絶(abortion)を促進する国際機関への(米国による)拠出をしないこと
  2. 米国の分担金の割合を現在の25%から22%に削減していくこと
  3. 国連予算を名目(in nominal terms)で現状より増やさないこと(実質では減少)
  4. いくつかの国連委員会はサンセットで(すなわち期限付きで)見直すこと
  5. 米国人を国連の予算を統括する委員会の委員長にすること

 米国のホルブルック国連大使は、「この結果が我々が到達できる最良のもの」であったと釈明していますが、クリントン政権がいわゆる「abortion politics」(国内政治である中絶論争を外交政策論争とリンクさせること)に屈してしまったことで、議会とともにホワイトハウスが批判にさらされています。

(過去の関連する「今日の一言」)

11月19日(金曜日) 文責:Yoshi

■グリラブ総会議長、「アフリカ工業化の日」にあたり演説

 アフリカ工業化の日(11月20日)を迎えるに当たり国連総会のテオベン・グリラブ総会議長(ナミビア大使)は、世界経済でアフリカが競争力をつけるには、莫大な天然資源を人々の基本的ニーズにあった製品へ転化する具体的な行動が必要であると演説した。
 また同氏によると、アフリカ大陸ではいまだ、変化する世界のビジネス環境に則した政策や構造を十分に定義づける必要があり、同時に、アフリカ諸国にとってのチャンスは、ヨーロッパ、アジア、アメリカの諸国と意味のある協力関係を築くことにあるという。
 さらにグリラブ総会議長は、開発協力国や国際機関からの支援によりアフリカ大陸全体で中小企業の成長に向けた努力を倍増するようアフリカ諸国へ訴えた。
 アフリカ工業化の日(Africa Industrialization Day)は、第2次アフリカの工業開発の10年(the Second Industrial Development Decade for Africa、1993〜2003年)の枠組み内で国連総会が宣言し、アフリカの工業化へ国際支援を促す狙いがある。

■事務総長、イスタンブールで各国外相と会談

 コフィ・アナン事務総長は、欧州安全保障協力機構(OSCE、Organization for Security and Cooperation in Europe)のサミットに出席し、また、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、アメリカの各国外相や国連コソボ暫定行政機構 (UNMIK)のベルナール・クシュネル事務総長特別代表とも会談した。一連の会合で 焦点となったのはコソボ問題とキプロス問題であった。
 またアナン事務総長夫妻は、8月17日にイスタンブール南東部を直撃した大地震の被災地も訪問した。

■「チェチェン紛争の人道支援で国連とロシアの協力に前進」と緒方 高等弁務官

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の緒方貞子 高等弁務官は、ロシアのプーチン首相、イワノフ外相、ショイグ非常事態相と協議し、コーカサス北部における人道的支援で国連とロシアの将来的な協力の地盤ができあがった、とアナン事務総長に電話で伝えた。
 緒方氏は、チェチェン紛争による人道状況の悪化を調査するため、事務総長の特使としてロシアを訪問している。アナン事務総長のスポークスマンは、「(事務総長は)ロシア当局が協力の手を差し伸べたことを喜び、(緒方)特使からの報告に期待している」と述べた。
 また緒方氏は、チェチェン北部の境界線地域の他に、避難民を収容しているイングーシ近郊のキャンプや病院も訪問した。ジュネーブのUNHCRのスポークスマンによると、イングーシのキャンプでは、遠くでロシアの大砲がとどろく中、線路上の列車やテントで生活する避難民は、戦争を止めさせて家に帰りたいと緒方氏に訴えたという。高等弁務官はここで、排水設備や衛生面など全体的に非常に難しい状況についても確認している。
 さらに緒方 高等弁務官は18日に、ロシア軍の統制下でチェチェン北部をヘリコプターで飛び、避難民が帰還する際に使用できそうな施設を視察した。

■「国連はテレビの“絶大なパワー”が必要」とUNDPIの法眼 事務次長

 国連本部で2日間にわたり開催された第4回世界テレビフォーラム(注釈:11月21日は世界テレビ・デー)が幕を閉じた。イタリアと日本からの協力のもと、国連広報局(UNDPI、UN Department of Public Information)が主催したこの会議は、世界各国のテレビ放送業界からおよそ750名が集い、平和や開発のためにテレビが果たす役割について協議した。
 法眼健作 国連広報担当事務次長は閉会にあたり、平和、開発、人類の向上のために国連はテレビの“絶大なパワー”を必要としていると強調した。

今日の一言

 今回のDHでも日本人の活躍が光っておりましたので、長めに取り上げておきました。
 状況は極めて厳しいのでしょうが、今回とくに気になったのが総会議長の言葉です。
 異なる解釈や意見もあるとは思いますが。

 グリラブ議長の言葉を「世界経済でアフリカが“競争力”をつけるには、“莫大な天然資源”を“人々”の基本的ニーズにあった製品へ転化する具体的な行動が必要だ」と訳したんですが、天然資源の場合、外国が買ってくれるように製品化しても、結局はコモディティなのでどうしても価格で競争するしかないという悪循環があるように感じます。
 その昔、中学校や高校で、アジア諸国の主な輸出品には天然ガス、原油、鉄鉱石、亜鉛、綿花、ジュートがあるなんて学んだように記憶してるんですが、実際には、韓国や台湾の経済発展の原動力は半導体やエレクトロニクス製品の製造であったりするわけで、シンガポールの場合も金融とか情報ですよね。また逆に、一次産品で儲からなくて、仕方なしに違法薬物を栽培しているという事例もありますし。
 結局は日本も含めアジア諸国がしてきたように、アフリカにも欧米やアジアと付加価値で対抗できるモノが必要なのではないかと思います。

11月22日(月曜日) 文責:渡辺

■アナン事務総長、トルコ初の公式訪問

 アナン事務総長が、トルコへ初の公式訪問。トルコ指導者との対談し、国際問題および地域の問題など広範な課題を討議し、キプロスの問題に関しては、「解決へ少しでも前進をと我々全員が希望している」とコメント。

INTERFET・インドネシア軍、難民送還の条約署名

 東チモール多国籍軍(INTERFET:International Force in East Timor )とインドネシア軍は、西チモールにいる難民の帰還を促進させるための条約を結んだ。
 また、UNHCRの報告によると、民兵の妨害にも関わらず五千人の難民が東チモールへと帰還、これで帰還者の総計は九万人以上となる。

■イラク、石油限定輸出プログラムの更改拒否

 イラクは、イラク石油限定輸出プログラム(oil-for-food programme)の更改をする意志がないと口頭で国連に通達。 Fred Eckhard 報道官によるとイラクは19日に安保理が同プログラムの二週間だけ延長した決定に対し不満の意志表示をしている模様と説明。

アナン事務総長、ハイチでの国際社会のプレセンス重要性を強調

 アナン事務総長は、国連ハイチ文民警察ミッション(MIPONUH: UN Civilian Police Mission in Haiti)の最新報告を発表、11月30日で MIPONUH の任期終了するが、国際社会は、民主化へむけてハイチ政府を継続的に支援すべきと強調。

■アナン事務総長、国連兵力引き離し監視軍任期延長を提案。

 アナン事務総長は、国連兵力引き離し監視軍(UNDOF: UN Disengagement Observer Force) に関する報告書を安保理に提出、同監視軍の6ヶ月延長を提案した。今回の UNDOF 延長は、2000年5月31日までとなる。

プリシュティナ空港、民間機による使用を禁止

 国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)は、民間機によるプリシュティナ空港の使用を禁止。これは、11月12日に墜落事故を起こした世界食糧計画(WFP)航空機の原因究明にあったているフランス調査団の勧告に従ったもの。

ルワンダ国際刑事裁判所検事、戦犯容疑者釈放命令を再審理

 Carla del Ponte ルワンダ国際刑事裁判所検事は、11月3日に控訴裁判所(Appeals Chamber)が下したBarayagwiza 容疑者の釈放決定を再審理すると告知。

■ユニセフ、ゲイツ財団の2600万ドルを寄付を歓迎

 ゲイツ財団は、21日、米国ユニセフ委員会に2600万ドルを授与。発展途上国57カ国で、母親と幼児の破傷風予防のワクチンなどの用途に使用される。1998年には、破傷風による死者は、25万人に上ったが、2005年までに破傷風を撲滅を目標としている。

「今日の一言」

 イラクの記事は、先週の金曜日の安保理の決定に関連していますが、この事自体が英文のデイリーハイライトにも掲載されていないので、今日の記事は、わかりずらかったかも知れません。
 同プログラムでは、通常6ヶ月間の延長が今までのパターンだったのですが、今回は、イラク側に立つのロシアが交渉したにも関わらず2週間という極端に短い延長の決定となり、イラクがこれに憤慨したため記事にあるような行動に出たと言われています。
 石油限定輸出プログラムの交渉の裏では、イラクに武器監査団を送りこみたいという安保理の意志があり、特に、拒否権をもつ常任理事国間での政治的やりとりが影響を与えています。
 今までは、イラクに対する経済制裁撤廃と軍縮監視団の送り込みが争点となり、石油限定輸出プログラムは、軍縮監視団の送り込みとは関係なく進めらていたのですが、今回の2週間のみの延長は、安保理側の石油限定輸出プログラムと監視団の送り込みを新たにからめて、イラクに圧力をかけようという意志がみえます。
 あまり厳しい監査団案は、通常ロシアが拒否するのですが、今回は、米国がチェチュニア批判を抑えるなら拒否しない等の工作活動をロシアが行ったとの話も流れているため、イラクが孤立化し、世界各国との間に、さらに、溝が深くなる恐れがあります。
 幸い、イラクへの人道支援物資は、この緊張の中でも引き続き配給される見込みですが、石油限定輸出プログラムによるイラクへの人道支援が効果をあげているという報告が続いていただけに、何とかこの苦境を乗り越え、憎悪と不信の悪循環から開放される方向に進む事を期待したいです。

11月23日(火曜日) 文責:山本

国連人道機関が共同アピール

 国連の人道機関が、統合アピールプロセス(CAP;Consolidated Appeal Process)として知られる共同アピールを行い、14件の緊急事態に援助資金24億ドルを要請した。

■事務総長は国連により介入に関するビジョンを発表

 アナン事務総長は、ジュネーブにおける記者会見でコソボのような地域への介入の方針について質問をうけ、紛争において暴力を停止させる場合等に介入すると応えた。

UNTEATの事務総長副特別代表を任命

 アナン事務総長は、東ティモール暫定行政機構(UNTEAT ; The UN Transitional Administration in East Timor)の事務総長副特別代表に Jean-Christian Cady氏を任命した。

UNMIK代表がクリントン米大統領と会見

 国連コソボ暫定行政機構(UNMIK ; The UN Interim Administration Mission in Kosovo)の Bernard Kouchner 代表はコソボ空港でクリントン大統領と会見し、UNMIKの活動並びに問題について討議した。

シエラレオネ事務総長特別代表は人権的状況に懸念を表明

 シエラレオネ事務総長特別代表の Francis G. Okelo 氏は、シエラレオネの北部で反政府勢力の元兵士が住民の人権を蹂躙する活動を続けていることに深い懸念を表明した。

■「文明間の対話」のパネルディスカッション開催

 2001年・「国連文明間の対話年(United Nations Year of Dialogue among Civilizations)」にちなんで、国連本部でパネルディスカッション「文明間の対話:共通基盤を求めて」が開催された。

■AIDSによる死亡者は増加の一途

 国連エイズ合同計画(UNAIDS;the Joint United Nations Programme on HIV/AIDS)と世界保健機構(WHO;World Health Organization)は12月1日の「世界エイズデー」を前に共同で報告書を提出。
 この報告書によるとこの1年で260万人が死亡し、560万人が感染した。累積では5000万人が感染し、1600万人が死亡したという。最近では、旧ソ連諸国で急激に感染者が増加している。これはドラッグの使用によるものとされている。

■貧困との戦いで乾燥地域の環境を守れ、とUNEP

 国連環境計画(UNEP;The UN Environment Programme)の Klaus Toepfer 事務局長はブラジルで会見し、世界の乾燥地域における貧困の問題は、砂漠化や土壌流出などの問題と緊密な関係があると指摘。
 UNEPが今年9月に刊行した報告書によれば、世界で19億へクタールが退化。

「今日の一言」

 15年ほど前NHK特集で『21世紀は警告する』というシリーズがありました。
 私はこのシリーズを見たことで、いわゆる「地球的問題群」の存在とその概要を知りました。もしこのNHK特集を見ていなければ国際情勢にそれほど興味を持つこともなく、今ごろSUNの翻訳などしていなかったでしょう。今日の最後の記事の、土地の貧弱化による砂漠化・土壌流出の問題を知ったのもこのシリーズによってでした。
 砂漠化や土壌流出をもたらす土壌の貧弱化は、人口爆発に遠因があります。そして、その人口爆発の背景には、先進諸国が途上国に対し保健衛生を強化し、死亡率を下げたことに理由の一つがあることを知り、愕然とした覚えがあります。

 乾燥した草原地帯で放牧などをして暮らしていた人たちに井戸を与え、農業を教え、定住を勧め、しかも、保健衛生状態を改善して(特に乳児の)死亡率が下がった場合、その人口を養うために、飼育する家畜の数が増え、しかも定住しているので、人間の住む周囲の牧草が徹底的に食べ尽くされ、土壌に養分や水分を蓄える役割をする植物の根を文字通り「根絶」してしまい、それゆえに土壌が貧弱になり、砂漠化や土壌流出に結びつくというわけです。(もちろんそれだけが原因じゃないですが。)
 そしてそのような土地では当然ながら生産性は低く、貧しい生活から脱却できない。しかし、そのような生活を続けるとさらに周囲の環境を破壊し、土地を貧弱化させていくという悪循環が続きます。おそらくこれが「貧困の問題は、砂漠化や土壌流出などの問題と緊密な関係がある」の意味なのだと想像します。

 『21世紀は警告する』のディレクターはこう記しています。

 『21世紀は……』ではなくて『21世紀へ警告する』ではないのか、という質問を何度も受けたのであった。
 冗談ではないのである。警告を受けるべきなのは現在の状況を作りつつある私たちであって、まだ実体もない21世紀の住民ではないのだ。私たちは警告されこそすれ、警告できる立場にはない。
 21世紀まで残り少なくなった現在、この言葉は重みをましているように思えてなりません。

11月24日(水曜日) 文責:山本

■WTOのシアトルラウンドで開発途上国が懸念を表明する、とUNCTADの観測

 国連貿易開発会議(UNCTAD;The UN Conference on Trade and Development)の分析によれば、今月30日から開催される世界貿易機関(WTO;World Trade Organizasion)のシアトルラウンドで、貧困にあえぐ諸国が、発展途上国に対する特別な保護と、前回の合意の不均衡部分の是正などを要求してくるとの観測がある。

■ギニアビサウで自由かつ公正な選挙を、と事務総長

 アナン事務総長は24日、報道官を通して、日曜日に予定されているギニアビサウでの大統領選挙と議員選挙が、自由かつ公正、透明な選挙を望むと声明を発表した。

■副事務総長は冷戦以降の公的セクターの役割の変化を強調

 Louise Frechette 副事務総長は24日、トロント大学での名誉学位授与にあたって、「もはや公的セクターと民間セクターの厳密な境界線を引くことに意味がなくなった」とスピーチした。

UNTEAT代表が東チモール西部へ

 国連東チモール暫定統治機構(UNTEAT;The UN Transitional Administration in East Timor)の Sergio Vieira de Mello 代表は24日、独立派指導者 Xanana Gusmao氏と彼の率いるチモール抵抗国民会議(CNRT;The National Council for Timorese Resistance)のメンバーらを伴って、初めて東チモールの西部に赴いた。

■MONUCは連絡将校を派遣

 国連コンゴ民主共和国監視ミッション(MONUC;The UN Observer Mission in the Democratic Republic of Congo)は24日、コンゴ民主共和国の5地域への現地調査を受け、予定していた連絡将校の派遣を早めた。4名が24日に到着、翌25日にはさらに4名が到着する予定。

■UNDOFの委任期間を延長

 安全保障理事会は24日、国連兵力引き離し監視軍(UNDOF;The UN Disengagement Observer Mission)への委任期間を6か月延長し、2000年5月31日までとすることを決定する決議を満場一致で採択した。

シエラレオネの元戦闘員の武装解除は遅々として進まず

 24日、国連シエラレオネミッション(UNAMSIL;The United Nations Missions in Sierra Leone)は、武装解除登録プログラムが遅々として進んでいないと報告した。45,000人と推定されている元戦闘員のうち1,125人しか武装解除に応じていない。武装解除に応じ登録した元兵士は、革命統一戦線(RUF;Revolutionary United Front)102名、革命評議会武装軍(AFRC;Armed Force Revolutionary Council)523名、市民防衛軍(Civil Defence Force)500名という内訳である。
 一方で、元戦闘員による強姦などの人権蹂躙などが行われているとの報告もなされている。

UNMIK代表とコソボの主要政党の代表がフォーラムに参加

 24日、国連コソボ暫定行政機構(UNMIK;The UN Interim Administration Mission in Kosovo)代表でもある Bernard Kouchner コソボ事務総長特別代表は、コソボの主要な政党の代表らとともに、パリで開催されたフォーラム・「バルカン諸国:安定から復興へ」に参加し、バルカン諸国の政治的・経済的再構築について討議された。

ルワンダ国際刑事裁判所で被告が無罪を主張

 24日、ルワンダ国際刑事裁判所で Mika Muhimama 被告は無罪を申し立てた。
 彼は11月8日ダル・エス・サラームで逮捕され、集団虐殺・集団虐殺の謀議・人道に対する罪・ジュネーブ条約に対する違反など7つの容疑で告発されている。

「今日の一言」

 モンキー・パンチの『ルパン三世』には、剣の達人・石川五右衛門が出てきます。
 五右衛門は何でも切り裂いてしまう斬鉄剣で活躍するのですが、拳銃で狙われると決まってこう言います。
 「飛び道具とは卑怯なり。」

 この言葉の奇妙さがおわかりになるでしょうか?
 殺す殺されるの戦闘の最中で、しかも他の殺戮手段があるにもかかわらず、剣にこだわる美意識(と言っていいのかわかりませんが)が働いているのです。
 しかし、この言葉を吐く五右衛門の気持ちがわかってしまうという面もあります。これはなぜでしょうか。それは、日本は一度は天下を採る決定的な役割を果たした鉄砲を放棄した経験を持つから、というのが理由の1つに挙げられるのではないでしょうか。

 織田信長が長篠の合戦で武田勝頼を鉄砲の新戦法で破った当時は、日本は世界でも有数の鉄砲所有国であり、その利用技術では最先端であったと言えると思います。しかし、その後家康が天下を取り、明示的に鉄砲禁止令を出したわけでもないのに、鉄砲鍛冶はどんどん刀鍛冶に転職し、事実上、鉄砲を放棄してしまいました。この、より強力な兵器がより殺傷力の低い兵器に席巻されるという事態は、世界の軍事史上、類を見ないことがらだったと言えます。

このあたりの経過や事情は『鉄砲を捨てた日本人』(ノエル・ペリン;中公文庫)に詳しいので興味をお持ちの方はご覧ください。
 今日の7つ目の記事は、内戦終結後の安全回復のための武装解除がなかなか進まないという内容なのですが、これと同じようなことはシエラレオネだけではなく、世界中いたるところで見られる事態です。
 武器を捨てないのは、おそらく、相手が捨てるかどうか不安だからです。同時にすべての勢力がすべての兵器を廃棄すれば事態は一挙に改善することは分かりきったことなのに、それができないのは、不信感があるからでしょう。
 もし、日本と言う国に、世界史において先駆的な役割を果たす使命があるとしたら、その1つは、この大規模な武装解除の成立条件とその方法論を世界に通用する形で明らかにすることではないかと思っています。

11月25日(木曜日) 

(この日は記事が更新されませんでした。 Thanks giving dayでお休みです。)

11月26日(金曜日) 文責:Yoshi

事務総長、ハイチでの新たな国連活動を提唱

 コフィ・アナン事務総長は、今日のハイチにおける民主主義と人権の状況について報告し、近く完了するハイチでの2つの国連活動をもとに新たな国連活動の立ち上げについて検討するよう国連総会へ提唱した。事務総長は、OASと共同展開した国際ハイチ文民ミッション(MICIVIH;International Civilian Mission in Haiti)の国連部門が法的基盤の構築に貢献したものの、ハイチはいまだ完全なる民主国家へ移行する初段階にあると語った。

ルワンダ国際刑事法廷、戦犯容疑者の釈放決定を保留

 ルワンダ国際刑事法廷(ICTR)は、大量虐殺の罪と人道に対する犯罪に問われているルワンダ人、Jean-Bosco Barayagwiza容疑者の釈放命令を7日間保留した。この措置は釈放命令に対する控訴の十分な検討期間を設けるためのもの。同容疑者は推定80万人が殺害された1994年に広報部門の局長を務めていた人物であり、ラジオやテレビの放送で暴力を扇動した容疑がある。

アンゴラ南部の戦闘で、難民がナミビア北部へ避難

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報告によると、アンゴラ南部における政府軍とUNITAの戦闘により、この2週間でおよそ2400人のアンゴラ人がナミビア北部へ避難した。難民の多くは女性、子ども、高齢者とのこと。
 またUNHCRによると、雨期にあたり生活状況が極度に悪化していることから、多くの難民が避難し、緊急の医療、食糧、住居の支援が必要だという。
 アンゴラでは推定170万人の国内避難民がおり、ナミビアにはおよそ5000人、コンゴ民主共和国(コンゴ-キンシャサ)にはおよそ4万3000人、ザンビアにはおよそ3万2000人の難民がいる。

■UNHCRとスーダン政府、エチオピア難民の問題で協議

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とスーダン政府はハルツームで、エチオピア難民の問題に関して協議した。1991年以前にスーダンから本国へ再度避難したエチオピア難民は、難民の権利が剥奪される危険性に直面している。スーダンにはおよそ3万人のエチオピア難民がいる。
 UNHCRとスーダン政府の話し合いでは、2000年3月1日に難民の認定が変更されることから、自主的にスーダンへ戻る選択肢について全エチオピア難民へ通知することに焦点が置かれた。100万人を超えるエチオピア難民(内UNHCRの支援を受けている難民はおよそ30万人)は、1991年にエチオピアでメンギスツ政権が失脚したのに続き、スーダン、ソマリア、ケニヤ、ジブチ、イエメンからエチオピアへ帰還している。

■国連宇宙空間問題部の新ディレクターにMazlan Othman博士

 ウィーンの国連広報サービスは、コフィ・アナン事務総長が10月21日付けでMazlan Othman博士を国連宇宙空間問題部のディレクターに任命していたことを発表した。
 国連総会は1959年に宇宙空間の平和的利用で国際協力を促すため宇宙空間平和利用委員会(Committee on the Peaceful Uses of Outer space)を設置し、国連宇宙空間問題部はその事務局として機能しているほか、発展途上国で宇宙技術を持続可能な開発(sustainable development)に利用することも支援している。

今日の一言

 以前にも、難民と国内避難民の差異について言及したことがありましたが、UNHCRの規定によりますと、難民とは「人種、宗教、国籍あるいは政治的見解などの理由から迫害される恐れが十分に存在するために自国を離れていて、その国の保護を受けることができないか、あるいはそうした恐れがあるため、その国の保護を受けることを望まない人々」を指します。また難民の地位は、1951年の「難民の地位に関する条約(Convention relating to the Status of Refugees)」と、その1967年の議定書の2つで詳細に定義されています。

 “自国を離れている難民”は多くの点で、居住する国の国民と同等の待遇を与えられ、国際的保護も比較的受けやすいですが、“自国内に居る避難民”の場合、内政干渉などの障害により、メディアに取り上げられにくい、国際社会に認知されにくい、支援の手が届きにくい、などの理由から、難民の場合よりも多くの悲劇を生み出している現実があります。

 エチオピア難民に関する問題では、UNHCRとしてはできることなら本国へ帰還した難民を国外に連れ出したいところですが、それを強制する権限はなく、仕方なく“自主的にスーダンへ戻る選択肢”などという曖昧な表現になっているように感じます。自分の生まれ育った国で暮らしたい難民の気持ちと、支援の手が差し伸べられなくなる 危惧と、難民の自主性に頼らねばならない現状に、如何ともしがたいジレンマがあります。

11月29日(月曜日) 文責:渡辺

■安保理、国連の武力紛争の予防の役割を追求、約4か国が参加

 安保理は、国連の国際平和維持力をより効率化させる一環として、武力紛争の予防における自らの役割を討議する公開会議を本日午後開催。
 会議の冒頭で演説に立ったアナン事務総長は、予防は国連の中心的役割にも関わらず、実際には起こった紛争のあとしまつに対応に終始することがあまりに多く、その根本的原因に対処出来ていないと強調。
 又、「安保理がこの会合を機に、どうしたら安保理が紛争予防をその日常業務のなかに組み込むことができるか検討していただきたい」と述べるとともに、引き続いて、国連事務局が予防外交、予防軍縮、予防配備、ならびに紛争前後の和平構築能力を増強しても、安保理と全ての国連加盟国の効率的な予防への新たな決意が無ければ何にもならないと述べた。
 アナン事務総長は、紛争の可能性がある場合の対応策として、早期に事実確認のミッションを送る、各国に内戦や隣国との紛争の可能性を速やかに安保理が対処できるよう報告を奨励するなどの安保理がとれるいくつかの方法を提案した。

■国連、パレスチナ人民連帯国際デーを記念

 中東和平交渉の再開とその進展を期待する中で、国連は、パレスチナ人民連帯国際デー (International Day of Solidarity with the Palestinan People)を記念するイベントを開催。
 パレスチナ人民の不可譲の権利行使に関する委員会 (Committee on the Exercise of the Inalienable Rights of the the Palestinian People)の記念式典で演説に立ったグリラブ総会議長は、総会の立場を再確認し満足のいく決着がつくまで和平プロセスに直接の関与し、パレスチナの問いに対する責任を持ち続けると述べた。

アナン事務総長、アフガン紛争の状況悪化を警告

 アフガニスタン情勢と国際社会の安全保障への影響をまとめた安保理への報告書が発表さた。アナン事務総長は、同報告書で国際社会が平和と安全保障への影響を考慮しその根本原因たる内戦と他国の干渉へ早急に手を打たなければ、手のつけられない状況になると警告。

Bernard Kouchner UNMIK 代表、セルビア人家族襲撃を非難

 本日早朝、コソボのプリシュティナにおいて、セルビア人一家3名が襲われ、62歳の男性が死亡、その妻と継母が激しく殴打された。Bernard Kouchner UNMIK 代表は、「邪悪で卑怯」とこれを非難。
 また、UNMIK の警察によると過去24時間内での殺人は、プリシュティナで3人、Gnjilane で2人。

プリシュティナのセントラルヒーティング・プラント操業開始

 プリシュティナのセントラルヒーティング・プラントが、修繕作業を終え、当初予定よりも4日早く操業を再開した。これにより、プリシュティナの病院、学校、住居へ供給が開始され、この冬には約40万人の暖房が確保される。

UNTEAT、民兵組織員への暴力事件増加を報告

 東ティモール暫定行政機構(UNTEAT:UN Transitional Administration in East Timor)は、東チモール内で民兵組織員の疑いがある人物に対する暴力事件が増加していると報告。
 先週、民兵組織指導者の兄弟が殺害されかが、両手を縛られた上、拷問と推察される傷跡を負っていたほか、民兵の疑いがある3名の住宅も焼け落とされるという事件も発生している。

■国連総会、新生および復興民主国家の国際会議をプロモート

 アナン事務総長のベニン国際会議は、民主化転換を強化するグローバルプラットフォーム提供の可能性があるとの報告を受けて、国連総会は決議を無投票で採択し、事務総長、加盟国、国連システム、その他の政府間機関に対して、2000年12月にベニンのコトヌーで開催される「新生および復興民主国家に関する第4回国際会議」(Fourth International Conference of New and Restored Democracies)への協力を求めた。

UNAMSILの平和維持兵第1人シエラレオネに到着

 合計6,000人を予定している国連シエラレオネ・ミッション(UNAMSIL)平和維持兵の第1陣135人がシエラレオネに到着。

■フィジー、国際刑事裁判所設立の条約批准へ

 フィジーは国際刑事裁判所(ICC:the International Criminal Court)準備委員会の第3会期の会合に際し、常設国際刑事裁判所設立条約(ローマICC規程)に署名と批准した事を発表。
 これで、署名国は90カ国、批准国は6カ国となる。発効には60ヶ国の批准が必用。

■戦犯容疑者釈放命令を再審理は、「トップ・プライオリティー」

 ルワンダ国際刑事裁判所のCarla Del Ponte 検察官は、控訴裁判所(Appeals Chamber)によるJean Bosco Barayagwiza 氏釈放命令の見直しは、「最重要問題」であるとし、ハーグでの約束をキャンセルしタンザニアに在留する意志を明らかにした。

◆「今日の一言」

 7つ目の記事でベニンとコトヌーという名前が出てきましたが、自分でも全く知らなかったので少しまとめました。

 正式には、ベニン共和国といいアフリカ大陸中西部に位置し、南はギニア湾、西はトーゴ、東はナイジェリアに面しています。60年8月1日、フランスから独立を宣言し、翌月、国際連合の加盟です。
 人口は、1995年時点で約550万人。今回、国際会議が開催されるコトヌーは、この国最大の都市で50数万が住んでいます。人口は、東京の半分ですがこの中に部族が42もありフランス語を公用語としていますが、ほとんどが何らかのアフリカ言語を話します。
 又、1975年には、教育義務と無償化を行い、識字率が高まって、小学校の就学率も6割を超えるほどになっています。

◆早朝の車出勤、自分の前をふらふらと横切る車。「まったく!」などと思ってクラクションを思いきり鳴らしこれみよがしに抜き返しかけたら、その車に乗っていたのは、先日ケーキをくれた人のいい隣のおばさん。おっとしまったと思いつつ急にスピードを少し落としてゆがんだ苦笑い...
 結構このような事があるもので、知らないと言うだけで、いとも簡単に冷酷になれ、「またいつもの如くとろい...」と勝手に決め込む能力が備わっているようです。

◆アフリカ諸国への不平等な支援、湾岸戦争で人の顔がみえないテレビゲーム爆撃、生身の人々痛みがわからない...。知らない、知ろうとしない心にまず自分から反旗をふりかざそうと思います。

11月30日(火曜日) 文責:山本

■武力紛争防止の文化構築を、と安保理議長

 安全保障理事会は議長声明において、武力紛争防止の文化の構築の重要性を強調した。また、紛争の原因となる経済・社会・文化・人道における問題への国際的協力の重要性をも強調した。

■コンゴ民主共和国へのミッション派遣を承認

 安全保障理事会は、コンゴ民主共和国における休戦協定の履行を支援する、国連コンゴ民主共和国監視ミッション(MONUC)の派遣を全会一致で決議を採択した。
 同時に、アナン事務総長に500名の軍事監視員の展開を要請した。
 決議では委任期間を2000年3月1日までとし、医療・行政・子供の保護などの活動を行う。

MIPONUHの委任期間延長を決定

 安全保障理事会は国連ハイチ文民警察ミッション(MIPONUH ; UN Civilian Police Mission in Haiti)の委任期間を2000年3月15日まで延長する決議を、賛成14・反対0・棄権1(ロシア)で採択した。MIPONUHは期限終了後、新たな支援活動である国連ハイチ文民支援ミッション(仮訳;MICAU ; International Civilian Support Mission in Haiti)へと移行する予定である。

■UNTEAT代表はオーストラリア高官と会談

 国連東チモール暫定統治機構(UNTEAT;The UN Transitional Administration in East Timor)の Sergio Vieira de Mello 代表はオーストラリア高官と会談し、東チモールにおける行政機構・治安機構におけるオーストラリアの役割について討議した。

■シエラレオネで武装解除が進展

 シオラレオネの反政府運動指導者であった Foday Sankoh 氏がかつての部下たちに呼びかけた結果、革命統一戦線(RUF ; Revolutionary United Front)の元戦闘員約500名が武装解除に応じた。また市民防衛軍(Civil Defence Force)からも515名が新たに武装解除に応じた。

■国際司法裁判所長の選挙は2000年3月2日に実施

 安全保障理事会は、国際司法裁判所所長の選挙を2000年3月2日に実施することを決定した。現在の Stephan Schwebel 所長の任期が2000年2年29日で終了するため。

■コソボで車両登録開始

 国連コソボ暫定行政機構(UNMIK ; The UN Interim Administration Mission in Kosovo)代表でもある Bernard Kouchner コソボ事務総長特別代表はプリシュティナにある車両登録所に赴き、新たに開始された車両登録の現場でプレートをとりつけた。Kouchner代表は「これは、コソボに法と秩序が回復したことをしめすよりサインだ。」と語った。

◆「今日の一言」

 この翻訳をしているのは12月1日です。
 国連広報局から正式な許可を得てSUNの配信をはじめてちょうど1年になります。そのときはメルマガではなく、Mailing Listという形ではありましたが。
 そう当時の配信数は確かようやく3桁に届くという程度であったことを考えると、かなり急激に大きくなり、読者にもかなり専門的な方や、世界各地で受信されている方もおられるようで、うれしい反面、それだけ厳しい眼で読まれていることを意識しつつ翻訳に携わっています。
 SUNスタッフの間では、もうすぐ秘密会議を催し、さらなる質の向上や今後の発展について話し合う予定です。近い将来その結果は反映されていくと思いますので今後ともよろしくお願いいたします。

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Updated : 2007/02/19